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大手有名シャンプーを斬る1

最近ではサロンの仕上がりを意識した高級感あふれるシャンプーが量販店でもお見受け出来るようになりました。各社自分の所のシャンプーこそは、他社とこんなに違います!と、謳い上げます。
しかし、大手各社シャンプー、どこが違うの?と、疑問に思った事はないでしょうか?

化粧品は2001年4月1日から、厚生労働省の薬事法の改正が行なわれ、全成分表示の時代に突入。安全性を買う側に判断して頂こうという目的の元、そのハラワタをさらけ出す事になりました。
当然、業界売上トップランクのシャンプーもその原料を裏の表示から伺えます。
しかし、どうでしょうか!

一番上には「」の文字。これは当然なのです。全成分表示の約束は、「多いもの順に表記する」なのです(ただし、1%以下は順不同。)一般的にシャンプーは水を50%以上含みますからね。当たり前の事なのです。
着目点はここからです。

その次に表示されている成分名は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(または、ラウレス硫酸Na)、コカミドプロピルベタイン(または、ラウラミドプロピルベタイン)、コカミドDEA(または、コカミドMEA)の3品目の多い事!他にも、エデト酸安息香酸(または、安息香酸Na)、サリチル酸塩(または、サリチル酸Na)が必ず入っています。
どの有名シャンプーも殆ど同じ活性剤を使用しているのですね(ToT)

特に、このポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(または、ラウレス硫酸Na)という原料は、匂いがすごいのです。酸っぱいというか、鼻につくというか・・・、原料をそのまま触ったら、1日匂いがとれません。とにかく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(または、ラウレス硫酸Na)の入ったシャンプーは、香料なしでは使えないのです。従って、香料もきついものが選択されがちです。

しかも、この原料は安い!
安い=安全ではない などと、バカな事はいいませんが、この手のシャンプーの中身の原価は(容器は別)、100円を切って、50円に近くなっています。
そりゃ、そうでしょう、500mLを500円で売ってりゃ、そんなものです。

合成モノの活性剤が全て悪いとはいいません。合成モノでも安全性の高いモノも多くあります。
ただ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(または、ラウレス硫酸Na)などは、脱脂力が高い為に、頭皮や髪をいたわりたいなら少し考慮すべきです(皮脂の多い方や、仕事上髪の汚れる原因のある方には、脱脂力のあるシャンプーはいいかもしれません。)。しかし、高級シャンプーとして購入するなら、せめてアミノ酸系シャンプーを選択したいと、個人的に思います。



大手有名シャンプーを斬る2

先ほどは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩(または、ラウレス硫酸Na)についてお話しました。今回は、コカミドプロピルベタイン(または、ラウラミドプロピルベタイン)について話しましょう。

コカミドプロピルベタイン(または、ラウラミドプロピルベタイン)は、両性界面活性剤という部類に属します。添加される理由は、主に髪の仕上がりのしっとり感を出す、または、シャンプーそのものの粘度を出す為に添加されます。

コカミドとはヤシ油脂肪酸アミド基がついた形です。ヤシ油脂肪酸から作られていますので、確かに天然由来です。
また、ベタインもビート(砂糖大根)から作られますからこれまた天然由来です。ただ、このアミドはアミノ酸の意味ではないので、コカミドプロピルベタイン(または、ラウラミドプロピルベタイン)はアミノ酸系界面活性剤ではありません。因に、ラウラミドとは、ラウリン酸にアミド基が付いた形ですが、このラウリン酸はヤシ油脂肪酸に含まれますので類似と考えていいでしょう。

また、このアミド基はかつて大きな問題の1つになったことがありました。

それは、かつて、シャンプーに使われた界面活性剤は、Na塩やK塩よりもTEA(トリエタノールアミド)タイプが多かったのです。TEAとは、アミドの部分に3つエチル基がついたモノです。しかし、一部の報告でTEAに発ガン性の危険性があげられ、業界こぞって止めてしまったという過去事例がありました。ただ、発ガン性が疑われたのは、あくまでTEA(トリエタノールアミド)ですので、お間違えのないように。

それから、コカミドDEA(または、コカミドMEA)ですが、これはコカミド(ヤシ油脂肪酸にアミド基がついた形)に、DEA(ジエタノールアミド)または、MEA(モノエタノールアミド)が付いた形です。DEAとはアミドの周りにエチル基が2つ付いたモノ、MEAはエチル基が1つ付いたモノです。TEA(トリエタノールアミドの発ガン性の可能性が報告があってから、必死に逃げた形ですね(苦笑)。


サロン専用シャンプーを斬る

最近では、サロン用シャンプーなるものが、市販されていますね。わざわざサロンに行かなくても購入できます。
が!本当にそれはサロン用シャンプーなのでしょうか?

まず、1つに、某大手メーカーが謳う「サロンの仕上がり」に着目してみましょう。

この謳いは、あくまでサロン後の仕上がり具合になると言っているだけで、サロン用のシャンプーであると言ってはいません。こういった類いの表現を使うシャンプーが増えていますね。
ただ、この大手メーカーさん、ちょっと面白いと思ったことがあります。それは、日本リ○バが売る、サロンの仕上がりと謳っている「モ○ズ モイスフィニッシュ シャンプー」と傷んだ髪用と謳っている「ラ○クス トリートメント シャンプーh スーパーリッチ」は入っている物は同じなのですよね。全成分表示していますので、比較してみるといいですよ。唯単に順番が少し違ってるだけで、成分は同じですから(笑)
ボトルの色と、商品名とCMの仕方で、差別化してるのですね。すごい(?)や!

話をサロン専用シャンプーに戻しましょう。
サロン専用シャンプーとはなんぞや!そりゃ、一般シャンプーとかなり異った、いい成分を使っているのでしょう・・・ね???

実の話、サロン専用シャンプーに求められるポイントは、サロン側の洗髪する方の手が荒れないことなのです。
そりゃ、そうでしょう。彼らは1日に何人何十人と他人の頭を洗い、その度に、自分の手や指を界面活性剤にさらしているのですから!

次に、サロン用のシャンプーにはジメチコン(またはジメチコノール)が入っています。これは、シリコーンのことです。かつては、リンスの成分として含まれたシリコーンですが、それがシャンプーにも含まれるのです。そして、このシリコーンが洗髪時やすすぎ時の滑らかな指通り感を生むのです。
そして最後に、医薬部外品であることが多いです。
医薬部外品であると都合のいいことが多いからです。その理由については、次回、お話しましょう。


医薬部外品を斬る

化粧品や医薬品は薬事法という法律のもとに区分されています。大きく分けると、医薬品、医薬部外品、化粧品の3つに区分されます。
化粧品というのは、化粧水やシャンプーなど様々なものが世にあります。今は、全成分表示が義務づけられて、中に何が入っているのか表示されています。
これは、買い手側への配慮として行われた事なのですが、実際には、買い手側に使用するか否かを自己判断してもらうスタイルになったのです。

良い点を上げると、フェノキシエタノールの入っている化粧品にはかぶれる体質だから、買わないでおこう!
とかが出来る訳です。

もう1つの分類、医薬部外品が今回のテーマですね。話を戻しましょうか。

医薬部外品とは、具体的には育毛剤やシャンプー、染毛剤などがあがります。他にも練り歯磨きなどもありますね。

医薬部外品は法的に効果効能を謳う事が許された、化粧品よりも効果が期待される化粧料です。
世界的にも珍し区分で、日本独特ですね。しかも、化粧品よりも効果がある、且つ一般に使われるにも関わらず、未だ全成分表示が義務づけられていません。この義務づけられていないという点がポイントです。

今まで、自然派化粧品として売りに出していた化粧品や防腐剤は使っていないなどと謳っていた化粧品屋にとっては、化粧品が全成分表示になる事は死活問題になっていました。なぜなら、ブチレングリコールやフェノキシエタノールなどの合成成分を使っていても買う側に知らせる必要がなかったからです。

そこで、化粧品が全成分表示になる直前に化粧品から医薬部外品に逃げたモノが結構ありました。そりゃそうでしょう、内容成分を表示しなくていいし、美白やフケ防止などの謳いを表記できるのですから!そういった場合も医薬部外品は雲隠れの役割も使えたのです。

本来は、実際にフケや美白に対して効果性を持たせる必要があったから医薬部外品にするのです。前に述べたサロンシャンプーや美白化粧水などの場合では、そういった理由があるのです。

しかしながら、この数年で医薬部外品も全成分表示になるように法律が変わる予定です。


アミノ酸系シャンプーを斬る
アミノ酸石けんシャンプー

アミノ酸系シャンプーでいいものを紹介して下さいとの質問が多かったので、今回はそれについて書いて見ましょう。
一言にアミノ酸系シャンプーといっても色々ありますが、量販店ではあまり扱っていないようです。それは、アミノ酸系シャンプーは200〜500mLで、1500〜3000円と高価だからです。主に、サロンや専門店で販売されているようです。
では、一般の方は、どこで購入できるのか?
最近は、東急ハンズやロフトといった大型マーケットでも、化粧品コーナーが充実しています。そういった、ところを覗かれると購入できるようです。では、そういったマーケットで可能なアミノ酸系シャンプーと、その主原料(主に使われている界面活性剤)を紹介ならびに斬ってみましょう。

アミノ酸石けんシャンプー
(松山油脂)


カリ石ケン素地

ヤシ脂肪酸アルギニン
グリセリン
エタノール
トコフェロール
グルコン酸Na

注意:表示されている成分を全てココに書き出している訳ではありません。上位、数成分のみ、書き出しています。

このシャンプーはアルカリタイプです。つまり、俗に言う石ケンシャンプーですね。結構メジャーなので、知っている方も多いのではないでしょうか?
アミノ酸系界面活性剤の多くは、アルカリから弱酸性までの範囲で使用可能なので、こういった石ケン系シャンプーへの添加も可能なのです。逆に言えば、アミノ酸系シャンプーだからと言って、弱酸性である保障もないですし、髪がきしまないともいえません。髪のきしみが気になるなら、弱酸性シャンプーがお勧めです。

さてこのシャンプーは「合成界面活性剤やパラベンをはじめ一切の表示成分を含んでいないため、肌の弱い方や赤ちゃんにも安心してお使いいただけます。」を売りにしています。パラベンフリーの形をとれるのは、石ケンシャンプーの特長。防腐をパラベンではなく、アルカリ性であるコトでとるのです

シャンプーの防腐の目的として、他の化粧料にない特長があります。その使用状況の過酷さです。それは、シャワーの浴びる場所に置かれ、ポンプで内容物を出した際に、出た量だけの空気をボトル内に吸い込むからです。
その空気は水蒸気と共に、大気中の菌や微生物を含みます。そういった、毎回の使用(ポンプを押す動作)で入ってくる菌や微生物の繁殖を抑えなくてはいけないのです。従って、パラベンやフェノキシエタノールが添加されたり、アルカリであるコトが重要になるのです。

では、このシャンプーを斬ってみましょう。
赤文字になった成分が、アミノ酸系界面活性剤です。
ヤシ脂肪酸アルギニン
は、天然のヤシから取られたヤシ油脂肪酸をアルカリタイプのアミノ酸でありアルギニンで中和して作られます。因みに、カリ石ケン素地とは、脂肪酸を水酸化カリウム(KOH)で中和したモノです。
石ケンには、カリウム塩タイプ(K)以外にもナトリウム塩タイプ(Na)やトリエタノールアミン(TEA)など様々なタイプがあります。
一般的な感覚からすると、カリウム塩(K)タイプはサッパリ系でボディーケアに使用され、ナトリウム塩(Na)タイプはしっとり系でフェイスケアに、トリエタノールアミン系(TEA)は、ヘアケアに使用されるのが一般です(でした。なぜ、過去形かは、またの機会に!)。
話をアミノ酸石けんシャンプーに戻しましょう。

このシャンプーの主な活性剤は、カリ石ケン素地とヤシ油脂肪酸アルギニンの2つです。グリセリンエタノールの説明は必要ないでしょう。次に続くトコフェロールは、ビタミンEのことです。その次のグルコン酸Naは、金属キレート剤(石ケンかすの発生を抑制する)です。
このグルコン酸Naに少し触れましょうか。

こういった成分はキレート剤と呼ばれます。主に、水道水中に含まれる二価の金属イオン(カルシウムイオンなど)といち早く結合して、石ケンかすを作ることを抑制したり、金属イオンを取ってしまうことで菌の増殖を抑制したりましす(菌の増殖には二価の金属イオンは必須である場合が多いのです)。

ここで、気になった方のために、石ケンかすについても、一言。

石ケンかすとは、石ケン(カリ石ケン素地やヤシ油脂肪酸アルギニン)が、二価の金属と結合して、水に溶けない物質に変わることです。これが髪に付着するときしみ
といった感覚になります。
また、顔に付着すると、つっぱりと言った感覚になります。
目で見たいなら、古い洗面器や風呂桶に付着した白くて落ちない水垢を観察して下さい。これが石ケンかすです。

脱線してので、まだ戻しましょう。

このシャンプーは、合成界面活性剤を使用していないと、よくネットで紹介されていますが、中和も一種の合成です。ただ、石油系の界面活性剤は使っていないことは事実です。
アルカリタイプなので、洗髪時には、きしみを感じますが、専用のクエン酸リンスを使えば、非石ケン系シャンプーにはない手触りを楽しめると思います。石ケン系シャンプーは、仕上がりで髪にシリコンなどの重い分子が付着しないので、軽い仕上がりになります。フェノキシエタノールやパラベン、安息香酸にアレルギーがある方は、一度使ってみてもいいかもしれません。
ただ、シャンプーのすすぎは丁寧にすることをお勧めします。

次回も、また、他のアミノ酸系シャンプーを斬ってみましょう!

アミノ酸系シャンプーを斬る
クレアナチュラルシャンプー
クレーデブライアントシャンプー

クレアナチュラルシャンプー
(玉理化学)



ラウロイルグルタミン酸TEA
グリセリン
コカミドDEA
ココアンホ酢酸Na
ジステアリン酸REG-150
ラウリン酸スクロース


注意:表示されている成分を全てココに書き出している訳ではありません。上位、数成分のみ、書き出しています。

今回のシャンプーもサロン用として有名です。ネットで見かけた方も多いのではないでしょうか?

例によって、赤文字表記がアミノ酸系界面活性剤です。3つ目の成分であるココアンホ酢酸Naは、全成分表示前の呼び名では、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドと、呼ばれていました。アミドと、つくのでアミノ酸系か?と、勘違いされる方もおられるかもしれませんが、これはアミノ酸系界面活性剤ではありません。

では、解説していきましょう。

ラウロイルグルタミン酸TEAとは、ラウリル、つまり、ラウリン酸(おそらくヤシ油脂肪酸由来でしょう)という脂肪酸とグルタミン酸(アミノ酸)が結合した形のモノをTEA(トリエタノールアミン)の塩に仕上げたアミノ酸系界面活性剤です。
数年前までは、広く使われていたタイプなのですが、最近では大手メーカーではその使用を避ける傾向があるようです。
それは、このTEAという形に発がん性の可能性があるとの報告がなされたからです

正確には、可能性であって、必ずというものではありません。過剰に反応する必要はないでしょう。何故なら、TEAには、発がん性の可能性はないと、論じる報告も後にされているからです。

しかしながら、化粧品はイメージ先行型の商品ですので、大手メーカーはこぞって、自社の処方からTEAタイプの界面活性剤を除いたのです。

しかし、まだまだ、TEAタイプの界面活性剤は、サロン用のシャンプーには多く使われているのが現状です。それは、このTEAの良好な使用感はNa塩タイプやK塩タイプには出せないのです。ホント、非常にシャンプーに向いた泡質や独特の仕上がりになるのです。

今回は、ここにもう一社例をあげましょう。

クレーデブライアントシャンプー
(ミルボン)



ココイルアルギニンTEA
グリセリン
ココアンホ酢酸Na
コカミドDEA

注意:表示されている成分を全てココに書き出している 訳ではありません。上位、数成分のみ、書き出しています。

ココイルアルギニンTEAとは、クレアナチュラルシャンプーにあった、ラウロイルグルタミン酸TEAと類似の成分です。類似と表現っしたのは、ヤシ油脂肪酸(ココ)に含まれる脂肪酸のメインの1つがラウリン酸(ラウロイル)だからです。

次に、今回斬っている2つのシャンプーに共通する成分として、ココアンホ酢酸NaとコカミドDEAがあります。
ココアンホ酢酸Naは、全成分表示前は、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインという名でした。このベタインからも分かるように、両性界面活性剤に属します(両性界面活性剤については「界面活性剤総論」を参照して下さい。)。
働きとしては、アニオン界面活性剤と合わせるコトで、シャンプーの粘度をあげたり、硬水(温泉など)中でも高い気泡力(泡立つ力)を保持します。後、この成分自体、低刺激性と謳われ、すすぎ時の髪やボディーのきしみを抑制したりもします。

次のコカミドDEAとは、全成分表示前は、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド名前でし た(上にも書きました)。このDEAも体内に入った場合に発がん性成分であるニトロ ソアミンを発生さえると報告され、嫌われた時期があったが、はっきりした発がん性 は分かっていないので過敏になる必要はないでしょう。現に、大手化粧品メーカーも使用しています。

よく「大手化粧品メーカーが使っているか?」を基準に安全性の話をします。これは、大手メーカーは、それなりにその業界を引っ張っていく立場になるからです。従って、国共交渉できる立場にいますし、業界のルール作りにも参加、進行する立場でもあります。まぁ、中には、某大手食品メーカーの様な例もありますが・・・(汗)。

さて、話をまとめましょう。

この2つのシャンプーは、天然由来のヤシを使用したアミノ酸系界面活性剤を中心にしたソフトな処方だと思います。また、ココアンホ酢酸Naといった両性界面活性剤を添加していることで、髪に柔軟性を持たせると共に、使用者の指(サロンの場合ですね)のことも配慮しているようです。また、個人的な意見ですが、コカミドDEAの作り出すクリーミーな泡質は、非常に心地のようものです。髪に傷みを感じておられる方、乾燥しがちだなぁと感じておられる方は、使ってみてはどうでしょうか?



アミノ酸系シャンプーを斬る
デフィシャンプーS4
ピュア95シャンプー

デフィシャンプーS4
(デミ化粧品)



ラウラミドプロプルベタイン
ココアンホ酢酸Na
ココイルメチルタウリンNa
PEG-6コカミド
コカミドDEA
リンゴ酸
アルキル(C12,14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCL

注意:表示されている成分を全てココに書き出している 訳ではありません。上位、数成分のみ、書き出しています。

ピュア95シャンプー
(バーミングジャパン)



コカミドDEA
ココイルメチルタウリンNa
オレフィン(14-16)スルホン酸Na
ココイルグルタミン酸TEA
PPG-12-PEG-50ラノリン
ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N ’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム)


注意:表示されている成分を全てココに書き出している 訳ではありません。上位、数成分のみ、書き出しています。

今回の2つのシャンプーで注目して頂きたいアミノ酸系界面活性剤は、ココイルメチルタウリンNaです。わたしとすては、究極のアミノ酸系界面活性剤と思っています。まぁ、そのくらいソフトなのです。
実際に、ベビー用のシャンプーの主剤とか、アトピー用のシャンプーの主剤としても用いられています。類似タイプにココイルタウリンNaという原料もあります。個人的には、ココイルメチルタウリンNaよりもココイルタウリンNaの方が泡質や洗浄感が好きですね。後、処方組みする際にも、粘度を確保しやすいので、個人的に使用したい原料です。

間違いがないようにしたいのですが、以前に紹介したアミノ酸系界面活性剤が悪い訳ではないですよ。ただ、TEAなどの形を持っていないコトと、その他の悪評を聞かないからです。ああ、値段はべらぼうに高いので、・・・悪評か?(笑)

この手のシャンプーは特に、髪が傷んだとかいうレベルよりも、もっと頭皮がデリケートな状態の方にお薦めです。頭皮の乾燥や、赤み(本来頭皮は真っ白です)のある頭皮の方は、1度試してみる価値はあるでしょう。

では、デフィシャンプーS4から、斬ってみましょう。

前回、話題に上がったコカミドDEAなども入っていますが、注目すべき成分は、アルキル(C12,14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCLです。
この成分は、両性界面活性剤に属します。勿論、アミノ酸系界面活性剤でもあります。
使用感(働き)としましては、髪へのリンス効果が高く、心地よいすすぎ感と、非常にしなやかな仕上がりが期待できます。本来はリンス系基剤としても使われています。この成分の持つすすぎ感は、髪が1本1本コートされた様に感じて、個人的にもが好きですね。
また、シャンプー自体が多くの両性界面活性剤で処方組みされていて、かなりしっとりした仕上がりが期待できると思います。泡質は粘りのある柔らかい泡でソフトですが、すっきり感をシャンプーに求める方には不向きでしょう。

続いて、ピュア95シャンプーです。

ココアンホプロピオン酸Naは、全成分表示前には、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムと呼ばれていました。アミンとあるので、アミノ酸系か?と思いがちですが、これはアミノ酸系成分ではありません。
ただ、前回紹介致しましたココアンホ酢酸Naと類似成分で、ソフトな成分です。
また、PPG-12-PEG-50ラノリンなどが、添加されている点からしても、非常に滑らかなしっとりした髪質に仕上がると思われます。乾燥しがちな方や、髪のボリュームが有りすぎる方が使うと効果を実感できるのではないでしょうか?ただ、本来から髪にボリュームがないことでお悩みの方や、脂性の頭皮の方向けではないでしょうね。

この3回、続けてアミノ酸系界面活性剤を含むシャンプーを紹介してきました。ソフトが売りのアミノ酸系シャンプーでも様々な特徴があることをお分かり頂けたでしょうか?


育毛剤の歴史
育毛剤の歴史は意外に古いのです。古史によれば、エジプトのツタンカーメンの時代から育毛剤は存在し、中国でも皇帝直属の漢方医が手がけていたとされています。

しかしながら、育毛剤が世の脚光を浴びたのは、やがり「101シリーズ」の登場からでしょう。
当時の育毛剤は、使用者のほぼ100%が男性でした。使用の目的も、ハゲ治しでした。ですから、少々の匂いは無視され、ボトルもガラス製のものが多かったのです。

しかしながら、その強烈な匂い(悪臭ともおじさん臭とも言われましたが)を我慢する割には、なかなか効果が現れませんでした。その要因は2つあります。1つは、あまりの匂いや効果のなさから試用期間が短い(1〜2ヶ月)内に使用をやめてしまったためです。育毛剤の効果は最低でも3〜6ヶ月使用の後に現れるのです。
もう1つの理由は、処方上の問題です。
101は元々中国系からの開発処方であり、その成分の一部に日本で使用できない原料があったのです。成分的にはハンミョウエキスです。このエキスは、頭皮に刺激を与え、半ばかぶれいみにすることで発毛を促す成分なのですが、これが日本で使用するにあたり除かれたのです。

やがて、育毛剤の第二世代ともいえるサクセスシリーズが誕生します。
これは、育毛剤を長期使用して頂くためには、習慣的に使ってもらう工夫が必要と考え、育毛剤に爽快感を与えた初代のシリーズです。今でこそ、メントールなどの爽快成分は一般の育毛剤に添加されていますが、サクセスシリーズ以前は重視されていませんでした。

使用してもいつになったら効果が出るのか不安な育毛剤に、即時的な感覚として爽快感を持たせることで、日常の習慣的に使用して頂けるように変わったのです。

その頃、時代を前後して、日本でも育毛効果の高い成分が添加されるようになりました。それが、センブリエキスです。
センブリエキスは、もともと当薬と言われ、胃腸薬として使用されていましたが、その刺激性を利用して、発毛剤として使用されたのです。当時は、その効果にアメリカも着目して、日本からセンブリエキス入りの育毛剤が輸出されていました。
しかし、ある時にアメリカ側からクレームが来たのです。

「育毛剤が口に入った場合、すごく苦い!どうにかならないか?」

原因は、センブリエキスでした。もともと生薬としてもその苦さが有名な成分です。このアメリカのクレームに対して、日本は、

「良薬、口に苦しだ!」

と、回答したという逸話があります。

時代は流れて、この3年ほど前から、育毛剤も第三世代とも言える時代が来ました。それが、ミノキシジルを有効成分とするリアップやロゲインの参上です。
これまでの医薬部外品としての育毛剤とことなり、医薬品として発売されています。目的も改めて発毛に絞込み、爽快感などの使用感は無視されています。(注意:リアップ以前にも医薬品としての育毛剤は存在していますが、それらとリアップはやはり異質な存在でしょう。)

このリアップやロゲインの参上を前後して、育毛剤市場に変化がありました。それは、女性市場の登場です。
髪を染めることが習慣化し、仕事場のエアコンで乾燥状態にさらされる女性の髪は、かつてないほどの傷みを生じだしたのです。
今現在、育毛剤市場の1割が女性です。しかも、男性市場以上に、その規模が伸びているのです。それは、女性用のリアップの発売からも想像がつくと思います。

そして、今、育毛剤は第四世代になりつつあると思います。この第四世代には、2つの流れがあります。1つは、女性をターゲットとした育毛剤シリーズです。しかし、かつてサクセスシリーズが用いた爽快感を女性が好まないために、新たな即効性の使用感が求められたのです。それが、「コシ、ハリ、ツヤ」の感覚です。使って、即効性でコシ感が感じられることがこれからの育毛剤の課題なのです
そして、もう1つは、アメリカの流れにのってやってくる食べるタイプの育毛剤です。薄毛や脱毛の原因は、その殆どが食生活を含める生活習慣病です。そういった面から考えると、食べる育毛剤も、着目すべき商品だと思います。

これからの時代、女性は育毛剤の考え方を変えるべきです。
育毛剤=ハゲ治し
ではなくて、
育毛剤=髪のコシ、ハリ、ツヤ治し または、毛成長促進
なのです。コシのあるしなやかな髪を保つために、育毛剤を使用しましょう。その場合、生薬成分が中心で、使って即効性でコシ感を感じられる育毛剤を見つけることが重要ですね。


40代を艶やかな髪でいるために
育毛剤の働きとしては、発毛と思いがちでしょう。つまり、禿げた人が使うモノとか、薄毛の方が使うモノというイメージでしょうか。
しかし、実際に、育毛剤はどんな働きをしているのでしょうか?

まずは、薬事法的な表現からしますと、
育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛が効能高価の範囲。そして、円形脱毛症、発毛不全、粃糠性脱毛、脂漏性脱毛、若禿及び老人禿は、医薬部外品の効能としては認めない、と、しています。

この謳いの中で、発毛促進が特に大きく表現されるために、育毛剤は禿げ薬という偏った見方になってしまっているのです。
本来、育毛剤の魅力は、育毛、養毛またはかゆみ、ふけの予防なのです。
ますは、育毛剤の働きから説明しましょう。

1つは、毛根の活発化です。これは一見、発毛促進のことのようですが(実際に、それもあるのですが)、そうではないのです。毛根が弱ると、毛は細くなります。毛が細くなる現象は、女性では30代前半から徐々に生じます。40代になると、薄くなったことを自覚して、ストレートヘアにできない方もおられると聞きます。また、髪の伸びるスピードも遅くなります。健康な方でしたら、1ヶ月で1cmは伸びるのですが、毛根が弱るとそうはいきません。

これらの現象は、毛根が弱ってきていることが原因です。毛根が痩せるという表現がいいでしょうか。髪が細くなり、伸びるスピードが遅くなるのです。これは、あたかも年齢と共に肌のハリが少なくなるのと同じで、お手入れ1つで他の方と差がつくところでもありあす。化粧水や乳液、クリームで肌に栄養を与え、衰えを抑制するように、頭皮もに栄養を与えましょう。育毛剤は、まさに、頭皮のエッセンスなのです。

もう1つの育毛剤の働きとして、消炎作用(炎症を抑える作用)があります。頭皮に炎症が起こると、頭皮が赤みをおびたり、かゆくなったり、ふけが生じたりします。こういった炎症は放っておくと、毛根を弱体化させてしまいます。つまり、頭皮の赤み、かゆみ、ふけの発生は、毛根からの悲鳴なのです。悲鳴の原因は、ドライヤーであったり、脱色やパーマであったりします。夏場の日焼けも大きな原因です。

育毛剤にはグリチルレチン酸やグリチルリチン酸ジカリウムなどの消炎作用をもつ成分が含まれます。特にかゆみを感じる方には、お勧めの成分です。毛根が弱ってしまうその前のケアが大切なのです。

このように、30代後半、40代をツヤとコシのある若々しい髪であるためにも、頭皮のエッセンスとして、育毛剤を使うことをお勧めします。


石けんを考える
最近では、ご自宅で石けんを作っておられる方が増えているようですね。
そこで、今回は、石けんについて、少しお話しましょう。

石けんは、油脂にアルカリを加えることで作ることが出来ます。
油脂とは、グリセリンに脂肪酸がひっついた形をしています。
また、その脂肪酸も炭素鎖で出来ていて、その長さで使用感が変わってきます。

コストのことを考慮しなければ、様々な油からでも石けんは作れます。例えば、オリーブ油やサフラワー油からでも石けんは作れます。

先ほど、脂肪酸の長さについて述べましたので、どういった長さの脂肪酸が、どういった油に多く含まれるのか表にしてみましたので、ご覧下さい。

カプリル酸 カプリン酸 ラウリン酸 ミリスチン酸 パルミチン酸 ステアリン酸 オレイン酸 リノール酸 リノレン酸
炭素鎖 8 10 12 14 16 18:0 18:1 18:2 18:3
ヤシ油 6-10 4-12 45-52 15-22 4-10 1-5 2-10 1-3
オリーブ油 7-15 1-3 70-85 4-12 0-1
ナタネ油 1-4 0-2 10-35 10-20 1-10
ゴマ油 7-12 3-6 35-46 35-48 0-2
大豆油 5-12 2-7 20-35 50-57 3-8
サフラワー油 4-8 1-4 8-25 60-80 0-1
牛脂 2-3 24-35 14-30 30-50 1-5

炭素鎖はCの結合数を示します。また、18:1とは、Cが18個つながり、内に不飽和が1 つあることを示します。
例えば、ラウリン酸はC12ですので、
C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-COOH
オレイン酸は、18:1で不飽和が1つあるので、
C-C-C-C-C-C-C-C-C=C-C-C-C-C-C-C-C-COOH
と、なります。
また、脂肪酸組成の欄の数値は、構成%を示します。例えば、オリーブ油にオレイン酸は70-85%含まれることを示します。

石ケンの場合、ステアリン酸で作った石ケン(ナトリウムタイプ)は、
C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-C-COONa
と、なり、カリ石ケンなら、
C-C-C-C-C-C-C-C-C=C-C-C-C-C-C-C-C-COOK
と、なります。



ご覧のように、それぞれの油で含まれる脂肪酸の長さに特長があります。
例えば、ヤシ油の場合、炭素鎖12のラウリン酸を多く含みます。これで石けんを作ると、脱脂力の高いサッパリ系の石けんになります。
また、オリーブ油は炭素鎖の長いオレイン酸を多く含み、これで石けんを作ったらしっとりタイプになります。
また、サフラワー油の場合、リノール酸を多く含みます。このリノール酸は、18個の炭素鎖の中に不飽和を2つも持つので(18:2)酸化されやすい特長があります。脂肪酸が酸化されると異臭が発すると共に、身体にもよくありません。ご注意下さい。

では、石けんの製造法について触れてみましょう。

石けんの出来る化学反応には、大きく分けて油脂をアルカリで加水分解するけん化と、 脂肪酸とアルカリが直接反応する中和2つあります。

けん化を用いた製造法にはけん化塩析法、焚き込み法、冷製法の3つがあり、中和を用いた方法は中和法といいます。

では、それぞれの特徴をあげてみましょう。

けん化塩析法
油脂に水酸化ナトリウムを加え、石けんをつくり、その後に、石けん以外の副生成物(グリセリンや不純物)を除きます。純度の高い石けんを作ることが出来るのが特徴です。

焚き込み法
油脂に水酸化ナトリウムた水酸化カリウムを加え石けんを作りますが、けん化塩析法と異なり、副生成物のグリセリンを除きません。ですから、未反応の油脂やグリセリンが残ります。
家庭などで、自分で石けんを作っておられる方は、この方法になります。
また、カリ石ケンは塩析法が使えないので、必然的にこの方法になります。

冷製法
方法や特徴は、焚き込み法と同じですが、石けんを作る際に特に加熱を行わないのが特長です。当然、未反応物(油脂)や副産物(グリセリン)を多く含みます。

中和法
油脂を使わずに、脂肪酸そのものを水酸化ナトリウムや水酸化カリウムと反応させ、石けんを使います。化粧品メーカーが用いる場合、こういったタイプが多いのは、グリセリンなどの不純物が少ないだけでなく、脂肪酸の長さを調製することで、その後の使用感を自由に調製できるからです。
例えば、(なんども言うようですが)ラウリン酸で作った石けんは脱脂力が強いですし、オレイン酸で作った石けんはしっとりタイプになります。

今後の石けん作りのご参考にして下さい。

最後に、注意して頂きたい点があります。石けんの濃度をあげようと、アルカリを多く入れると、中和(けん化)にあぶれたアルカリが残ります。こういったアリカリは肌や目への悪影響がありますので、慎重に量を検討して下さいね。


化粧品屋の困惑
シャンプーが目に入ったら痛い!
と、いうのは常識のように思っていませんか?しかし、最近はどうでしょうか?シャンプーが目に入って痛い!と感じることがなくなっていませんか?
実際にそうなのです。より良い改善との謳いの中、少しでも刺激の少ないシャンプーを目指す開発というテーマで、目に対する刺激も低減されてきています。

しかし、そこで化粧品屋の困惑が生じるのです。

目に入ると痛いはずの界面活性剤が、目に入っても痛くない!
そのマジックは、活性剤の大きさ(分子量)とか構造そのもの、また、シャンプーの濃度(浸透圧)、pHなどの様々な手段で目に入っても痛くなりにくいように工夫されています。(合成だから目に悪いとか、石けんだから大丈夫などといったことはありません)

が! 実際どんなものなのでしょうか?

マイルドといえども、界面活性剤は界面活性剤です。決して角膜にいいものではありません。目に入って痛い!と思うから、目を洗ったりして界面活性剤を排出するのです。でも、それが、ソフトという名の下に気付かずにいるのです。
これって、本当にソフトなのでしょうか?

また、メラニン抑制も同じです。
メラニンはまるで悪人にように扱われていますが、そんなことはないのです。
メラニンは、紫外線を吸収して肌内での活性酸素の発生抑制やDNAの損傷を抑制してくれているのです。
全くメラニンのない人は、紫外線アレルギーとなって、日中に出歩くことが出来ません。メラニンは、お肌を守ってくれているのです
が、美白で美しく!と、皆思うのです。

紫外線を3分も浴びると、皮膚の老化が始まるとされています。美白もいいですが、化粧品屋としては、UVカット化粧品をもっと使われるといいのになぁ、と、思っています。

他にも、乳液などはご存知の通り、油分が含まれています。若い健康な肌に油分を与えると、プルルンとします。が!肌は怠け者なのです。絶えず外部から油分を補ってもらえるなら、
自分で作るのをやめてしまうのです。
結果、早い内から、乳液が手放せない乾燥肌になってしまいます。

より良い化粧品とはどんなものなのでしょうかね?


シワについて斬る
いま、着目の原料コエンザイムQ10(こえんざいむ きゅーてん)。ユビキノンとも言われる物質で、細胞内のミトコンドリア内に含まれる成分です。日本薬局方の医薬品原料としてユビデカレノンとして承認されています。

コエンザイムQ10はアメリカでは既に、抗老化、抗シワ剤として化粧品や健康食品に添加されています。レチノールなどとはまた別の働きかけで、皮ふの老化を防ぐのです。現在のところ大きな副作用の報告は入手しておりません(ご存知の方がおられましたら、ご紹介頂きたいです。)。

一昨年から日本でも使用が可能になり、サプリメントを初め、化粧品でも最近使用されてきました。見かけた方や既に食されている方もいるかもしれませんね。でも、現在、「シワに効く」とは、薬事法的に謳えないのですよね。

しかし!

化粧品の分野では、ここ数年で医薬部外品の効果効能として「美白」に続き「抗シワ」の効果性が導入される予定です。現在、国と大手化粧品メーカーの調製中です。何を調整しているのかといいますと、「シワの定義」とか、「抗シワ」の試験方法です。

本決まりにほぼなりましたので、ここにシワの定義を示します。

「加齢に伴って健康皮膚の表面に現れ、線状を呈し単独あるいは複数で一定した方向性を有することが多い。肉眼で認められる長さ、深さ、幅をもつ溝のこと。額、目尻、首などの皮膚を好発部位とし、日光、乾燥などの環境因子により増強される。シワの中でも近接しなければ認められないものを小ジワと呼ぶ。ただ、一過性の変形によるものや創傷が原因のものは除く」

これを定義とした場合、医薬部外品の抗シワ化粧水の働きを斬ると、

「目尻や首には効くけど、指とか腕は対象外。紫外線を浴びて出来たシワに関しても 保障しないから、日焼けの責任まではとらないよ。」

と、いった感じですね。やっぱり、日ごろのケアは必要ってことでしょう。このことはあなたの期待にそった抗シワだったでしょうか?(苦笑)


育毛剤について-1 <<<<自分で育毛剤を作る前に>>>>
「自分で育毛剤を作ってみたのですが・・・」
化粧水を自分で作っている方が多い中、そういった意見は、必ずあるでしょう。

育毛剤は、化粧品よりも医薬品に近い存在です。生薬化粧水と同じように、気楽な気分で使うのはお薦め出来ません。しかし・・・、作る人は作るしなぁ・・・。
そこで、今回は、もし作るなら注意して欲しい点と、育毛剤のノウハウについて、語りましょう。

まずは、育毛剤に含まれる原料について分類しましょう。原料は以下の7つのパターンに分かれます。

1:刺激で発毛を促進する原料
2:殺菌効果でフケを抑える原料
3:細胞を活性化する原料
4:消炎作用で頭皮の赤みや痒みを改善する原料
5:頭皮の乾燥を抑える保湿原料
6:爽快感を与える原料
7:上記の原料を溶かす水とエタノール

です。では、この7つについて解説しましょう。

1:刺激で発毛を促進する原料
発毛を促す方法の基本は、軽く頭皮や毛根に刺激を与えて、細胞を驚かせる(非科学的な表現ですが)ことです。具体的には、かぶれる寸前がベストです。従って、原料の入れ過ぎは危険です
この分野に入る生薬エキスとしては、トウガラシチンキやセンブリエキス、クララエキス(クジンエキス)などが有名ですね。いずれも、日本薬局方や化粧品原料規格で作り方が定められています。しかも、入れる上限(入れてもいい限界)も定められた原料が多いです。逆に言えば、入れる濃度は極く微量でOKなのです。

例えば、トウガラシチンキなら0.05%も入れれば、敏感な方なら刺激を感じるでしょう。0.1%も入れたらカッカきますね。センブリエキスの場合は、1〜3%で十分です。
育毛剤を自分で作る場合、最も気をつけなくてはいけない原料はこの「1」の分野のものです。
先にありました通り、数パーセント入れただけでかぶれる寸前になるので勝手にトウガラシエキスを作って頭皮に塗ったらただれる可能性もあります。注意が必要ですね。他にも、イチョウエキスの自作の場合、刺激物を十分に除けていない場合があるので注意が必要です。

2:殺菌効果でフケを抑える原料
フケの原因の1つは頭皮の常在菌の繁殖です。繁殖を抑えることが出来たら、フケもおさまります。植物成分では、ヒノキチオールという成分が有名ですね。東北のヒノキやヒバから取れる成分で、香はヒノキそのものです。わたしの大好きな原料の1つです。
この原料も非常に効き目がいいのですが、菌を抜群に殺す成分を入れ過ぎると、頭皮の細胞もヤッてしまいます。やはり、「2」の分野も使用上限がある原料が多いですね。

3:細胞を活性化する原料
この当たりから、一般の方でも扱えそうな原料が現れます。例えば、オタネニンジンエキス、冬虫夏草エキス、ボタンエキス、ビワ葉エキスなどがあります。ご自分で化粧水をお作りになっている方なら、一度は耳にした原料ではないでしょうか?
わたしは、このサイトで「顔は化粧水、頭皮は育毛剤でケアしましょう!」と、言っていますが、頭皮も頬も目じりも同じ皮膚です。皮膚を元気にする成分がこの「3」の種類ですね。
特に使用上限を決められた原料はありません。化粧水に使う原料をそのまま代用可能です。

4:消炎作用で頭皮の赤みや痒みを改善する原料
フケの原因の1つは先ほど書きました菌です。そしてもう1つの大きな原因は頭皮のかぶれになります。かぶれの原因は、シャンプーが合わないとか、食生活とか様々ですが、いずれも頭皮が赤みを帯びた状態になります。「1」で発毛はかぶれる寸前がいい!と、いいましたが、かぶれてしまって良い訳がありません。
消炎作用のある原料として、チョウジエキス、カンゾウ(甘草)エキスがあります。このカンゾウエキスの有効成分がグリチルレチン酸とが、グリチルリチンジカリウムなのです。殆どの育毛剤に起用されています。

5:頭皮の乾燥を抑える保湿原料
フケや痒みの原因の1つは、頭皮の乾燥にあります。ここに入る原料群は保湿成分になります。保湿成分として有名なのがグリセリン!化粧水にもばんばん使われていますよね。でも・・・、育毛剤にグリセリンを使うのはお薦め出来ません!
グリセリンでかぶれるとかそういったことはありません。育毛剤にグリセリンをお薦めしないのは、グリセリンのその特製にあります。

グリセリンは皮膚への浸透が高いです。皮膚表面から少し内側にしみ込んで蓄積します。ですから、化粧水として使った時に、長時間しっとりするのですね。
しかし、このことが育毛剤には不利に働きます。

皮膚内部に蓄積したグリセリンが逆にバリアのようになって、肌からの成分の浸透を抑制してしまうからです。育毛剤の原料の多くは、水よりもエタノールにとけやすいので、このグリセリンバリアで止まってしまい、毛根にまでいきません(因に、化粧水成分はエタノールより水に溶けやすい原料が多いので、グリセリンバリアの中でも通過します。)
ですから、育毛剤の保湿成分がグリセリンを避け、ベタインやヨクイニン(ハトムギ)エキス、ジオウエキスなどがいいでしょう。

6:爽快感を与える原料
主にメントールですね。これも使用上限が1%に定められています。しかし、0.05〜0.1%入れれば十分に効果があります。女性の育毛剤の場合、この爽快感を女性が好まない傾向があるので、添加されていない場合もあります。

7:上記の原料を溶かす水とエタノール
育毛剤は化粧水に比べてエタノール濃度が高い!と思っていませんか?
実際に調査すると、女性用の育毛剤でもエタノール濃度が10〜90%とかなり色々あります。しかし、使用感から考えるとエタノール濃度50〜60%がベストでしょう。その方が防腐効果もありますからね。実際に、育毛剤はこのエタノールで防腐をとっている場合が多いです。

以上、今回は、育毛剤に含まれる原料について分類について斬ってみました。肌よりも脂分が多いだけ頭皮の方がかぶれにくいのは事実です。しかし、化粧水同様に気をつける必要があるのですね。


育毛剤について-2 <<<<白髪の方について>>>>
女性の髪の悩みの1つには白髪という問題がありますよね。最近でこそ毛染への偏見がなくなり、女性も年齢を問わずに毛色を明るく染めている方が増えました。

しかし、実際には、「白髪=老化」というイメージがあるのも事実です。

育毛剤の働きを再度チェックしてみましょう。
厚生労働省が医薬部外品の育毛剤に認める範囲として、

「育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛が効能高価の範囲。そして、円形脱毛症、発毛不全、粃糠性脱毛、脂漏性脱毛、若禿及び老人禿は、医薬部外品の効能としては認めない。」

と、あります。つまり、フケや痒み、脱毛に関しては表記がありますが、白髪改善に関しては表記がないのです。
このことはどういったことなのでしょうか?

育毛剤の働きを大ざっぱに表現しますと、「毛根を元気にする」と、いうことです。しかし、白髪は「毛根が元気じゃないから白髪になる」と、いうものではないのです。

白髪の原因は、毛根周辺のメラノ細胞がメラニンを作らなくなるからです。毛が成長するというシステムとは全く別物らしいです。しかし、このメラニンを作らないという行為も、いい加減なもので、突然また作り出したりします。
白髪の多い方なら自分の毛を見ると、途中から白髪が黒くなって、また白に戻っている毛を見たこともあるでしょう。

現在、科学的、医学的に白髪を改善する有効な手段は分かっていません。というか、白髪の出来るメカニズムに関しても、つい2年ほど前に解明されたぐらいです。

育毛剤では、白髪の改善は望めないということですね。

しかしながら、公開特許を調べますと、「サンザシ」という植物に当たります。このサンザシエキス(エタノール抽出物)は、白髪改善の効果があるらしいです。ぜひ、わたしも検討したいものです。

因に、「一夜にして白髪になる!」などといった現象を言われますが、これは案外ウソではないかもしれません。
と、いうもの、円形脱毛症で髪が抜ける場合、白髪だけが残ると、いったことがあるのです。
円形脱毛症の原因は、自己免疫疾患。つまり、自分の毛根を異物として免疫が反応し、攻撃をかけることで脱毛するとされています。
しかし、この時に、白髪の毛根は攻撃を受けないらしいのです。

高いストレスで円形脱毛症により、一夜で黒髪は全て抜けた場合、50%が白髪の方なら「一夜にして白髪になる!」などといった現象はアリですよね。


コウジ酸について
美白の有効成分として有名なコウジ酸に対して、厚生労働省がストップをかけました。
以前より、コウジ酸に関しては、発がん性の疑いがある報告がありましたが、この度その安全性が確認できなかったため「コウジ酸」が含まれる美白化粧品の製造・輸入をしないよう指導する」ということを好評しました。
関連サイトの紹介↓

「コウジ酸に発ガンの疑い」

美白の有効成分として知られているコウジ酸は、お酒や味噌、醤油などの発酵食品に欠かせないコウジ菌から発見され、自然派思考の化粧品メーカー等が、プラセンタエキス、アルブチンに続き使用してきました。
平成12年に狂牛病問題の発生で、プラセンタエキスの使用していた美白化粧水がこぞってビタミンCに有効成分を変更したところでした。

3/7に厚生労働省が発表した内容からすると、「発がん性の疑いがぬぐいきれない」ということです。つまり、「発がん性がある」という報告ではありません。ただ、今後、コウジ酸を含む化粧品の製造・輸入を見合わせることとなります。

この発表に伴い、商品の回収の指示は出されていません。ただ、コウジ酸を含む美白化粧品は、12社、186品目が販売されており、厚生労働省は、すべての商品名をホームページで公開するとのことです。

コウジ酸を使って美白を謳っている化粧水としては、コウセイ、ノエビア、アルビオンなどマイルドを謳いにする大手メーカーが多いことから大変な事態になるでしょう。

今後の動向としては、美白の原料をコウジ酸からビタミンCへ移行することになっていくと思われます。

ここで、少し、美白成分の歴史を書きましょう。

かつて美白の成分として、ビタミンC以外にアルブチンとプラセンタエキス、コウジ酸がありました。ソウハクヒエキスも美白成分として有名ですが、厚生労働省の認めるところの美白の有効成分としては含まれていません。

アルブチンは大手化粧品メーカーの特許の問題でなかなか使用できない状態でした。
また、プラセンタエキスは、肌へのなじみもよく多く使用されていました。
このプラセンタエキスは、嘗てはヒト胎盤かた抽出されていました。科学的なコトをいいますと、同種から取れたものはなじみがいいのです。
しかしながら、7年ほど前にエイズ問題やイメージ的な問題から、ヒト胎盤由来からウシ胎盤由来に変更されました。
しかし、平成12年に狂牛病問題にともない、ウシ胎盤が使用できなくなります。そこで、着目されたのが、ブタ胎盤由来のプラセンタエキスです。
今までブタ胎盤由来のプラセンタエキスがなかった理由は2つ。
1つは、ウシの方が原料費が安かったし、入手が安易であったこと。2つ目は、ウシに比べてブタは菌の問題があったからです。
わざわざ、菌の除去に多くの費用を掛ける必要はなかったのでウシが使われていたのですが、ウシが使えないから、ブタに変更せざるえない状況です。
現在、使用されているプラセンタエキスの多くは、ブタ胎盤由来と思われます。勿論、処理されて菌の心配は全くありません。
しかし、化粧品メーカーとしては、動物原料の使用を避ける傾向に流れ、ビタミンCへの移行がなされています。
ただ、このビタミンCも分解の問題や5%以上添加した場合、ピーリング(皮向け)が生じる可能性があるなどの問題も残っています。他にも、同じビタミンCでも、どんな塩が結合しているか(Na塩か、Mg塩か、糖がついているのか・・・)で、吸収も異なることを知っておいて下さい。


育毛効果エキスについて
現在、育毛市場は600億円程度とされ、精神的なストレスからの薄毛や抜け毛の悩みが10代、20代の若年層にも増えてきています。薄毛や脱毛で悩んでいる人口は約2300万人とされ、その内の1/4の約560万人が育毛剤を使用しているとされています。

最近では、育毛に有効な成分として多くの植物抽出物が着目を浴びています。
例えば、西洋オトギリソウは、古来より東西を問わず傷薬やうがい薬、化粧水などに使われて着ましたが、近年、毛包上皮細胞の増殖促進が確認され、その有効成分であるastilbinをちょっと化工して作られたのが、花王が出したt-フラボンです。

また、脱毛症で通院される患者の5割は女性(嘗ては、男性の方が3倍多かった)になってきています。だた、男性型脱毛症と違って、女性型脱毛症の研究は遅れているようです。そんな中、女性型脱毛症の治療として桐葉エキスが着目されています。
キリは幹の高さ10mほどになる落葉高木で、その乾燥葉の煎じ汁は、火傷、利尿作用、養毛作用があるとされてきました。最近の報告では、この桐葉エキスで女性のびまん性脱毛症の改善報告がされています。

他にも、カワラケツメイ(原始的なマメ科植物)も民間薬としては利尿、強壮作用剤として煎って飲まれていましたが、このカワラケツメイエキスにも毛再生効果があることが報告されています。
他にも、ブドウ種子リンゴから抽出されたプロアントシアニジンは既に育毛剤に起用されています。

逆に、発毛を促す植物エキスがあるなら、発毛を抑制する植物エキスも研究される訳で、女性のスネや体毛を対象に研究が盛んになってきています。例えば、の1種のラレアディバリカタや大豆タンパク質由来のペプチドなどが最近の注目です。

全成分表示に伴い、新たな植物エキスの起用も増えてきました。これから、情報のチェックも大変になりそうです。


生薬エキス製造について
先日、コウジ酸の問題でゴタゴタがありましたが、今度は、生薬エキスの問題でゴタゴタが生じています。
コトは、昨年末に発覚しまして、実際に施行したのがこの3/11なのですが、某大手メーカーが製造する生薬エキスの作り方が、申請と違うことが発覚したのです。

一般の人が自分で使うために作る生薬エキスと異なり、企業の作る生薬エキスは、化粧品以外にも医薬品などにも添加されます。それ故に、国がしっかりその製造法に関して申請、許可を行いチェックしているのです。

以下、その企業のHPで出している詫び文の略文です。

「漢方エキス及び生薬エキス原料の製造方法が、承認を受けた方法と異なっていたため、その原料はもとよりこれらの原料を用いて製造された医薬品についても注意が必要です。各製造企業において自主的に回収をお願い致します。」

で、実際にどんなことが起こるのかといいますと、有名なところでは以下の商品の回収が行われる訳です。

大阪医薬品工業(株) 正露丸
カネボウ(株) 清上防風湯エキス顆粒カネボウ
興和(株) キャベジンコーワ細粒
大正製薬(株) 新大正胃腸薬

使っておられる方もいるんかな?この回収に関しても、この製造メーカーは費用を負担する訳ですから、大変ですね。
実際には、飲んでも問題ないと記していますが・・・。まぁ、自主回収ですので、厚生労働省のサイトにも発表はないです。どうしても気になる方は、検索エンジンで探して見て下さい。それでも、分からなくて、知りたい方はメール下さいね。

さて、では、化粧品原料に使われる生薬原料がどういった抽出方法を用いられているのか、気になりますよね。
メモのご用意を(笑) その一例を下にココしてみます。


生薬の抽出方の例
<<<<<<<エタノール抽出の例>>>>>>
○○植物の根30kgを細切りし、粉砕器で細砕する。これに50%エタノール200Lを加え,一昼夜撹拌抽出した後、ろ過する。ろ紙に残ったものには、50%エタノール90Lを加え同様に抽出を行い、全抽出液を合わせ減圧濃縮を行い、抽出液のエタノール含量が30%になるように精製水及びエタノールを加えて調製する。更に10〜14日間冷所に放置して成熟させ、この工程で生じたオリや沈殿をろ過して除去し、30%エタノールを加え,製品200Lを得る。



どうですか?まぁ、作る量の問題はさておき、減圧濃縮とか、その後にエタノール濃度の調整とか・・・素人さんには出来ない技術ですね。このエタノールを100%モノから初めて微妙に変化させるのも、不必要な糖質やアレルギー成分を除去するノウハウが入っているのです。最後に「ろ過」の工程が記していますが、これもかなりのノウハウが必要なのですよね。

従って、同じものをきちんと作る為には、国としても放りっぱなしとないかない訳です。(注意:上記の生薬の抽出法はあくまでも例です!今回の事件とは関係ありません。)

化粧品に関しても医薬品に関しても最先端を走る日本としては、世界の見本になっていきたいものですね。


防腐剤について
一般に化粧品には防腐剤が入っています。有名なところで、パラベン、フェノキシエタノールでしょうか。他にも、ブチレングリコールやエタノールなどが防腐剤代わりに使われます。
このサイトを閲覧されている方の中には、ご自分で生薬化粧水などを作られている方も多いと思います。そういった方の気になるところも、この防腐の問題でしょう。

パラベンは少量でかなり広い種類の菌を抑える働きがあります。パラベンは、全成分表示で「パラベン」となっていますが、正式には、「メチルパラベン」、「プロピルパラベン」など、その種類を表記しなくてはいけません。2003年現在でまだ「パラベン」と表示されているのは、2002年9月以前に作られた在庫でしょう。

では、ちょっと、パラベンについて解説しましょう。

防腐剤は、水に溶けやすいモノと油に溶けやすいモノがあります。菌も、水側にいるヤツと油側にいるヤツがあるので、退治したい領域に溶ける防腐剤を添加するのです。
例えば、メチルパラベンは水に良く溶けます。従って、水中にいる菌に効果を発揮します。化粧品の殆どの部分が水ですから、メチルパラベンは多様されています。

「パラベンにアレルギーがあるから・・・」
と、言っている方で、一般目薬を使用されている方はいないでしょうか?防腐剤フリーの目薬以外には大抵メチルパラベンが添加されています。

「パラベンには女性ホルモン様作用があって、環境ホルモンじゃないの?」
と、思われている方も多いでしょう。しかし、科学的知見から、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベンは環境ホルモンとはならないと報告されています。
ただ、ブチルパラベンは「環境ホルモンでないとは、否定できない」としています。

現在、ヨーロッパを中心に防腐剤としてブチルパラベンが使用されなくなっています。逆に、フェノキシエタノールの起用が増えています。
しかし、アレルギーの視点からすると、パラベンは濃度依存的に働き(薄いとアレルギー症状がでなくて、濃いと出る)、フェノキシエタノールはちょっとでも入っていたらアレルギー反応のある人には症状が出ると言われています。

勿論、一般健常者には、何れも問題ないのですけどね。

ここでもう1つ。エタノールとブチレングリコールに触れておきましょう。

エタノールは殺菌用に噴霧される場合は、70%エタノール水が用いられます。しかし、化粧品としての防腐は、15%が1つの目安ですね。
敏感肌用の化粧品でエタノールフリーでパラベン、フェノキシエタノールも使っていないタイプは、ブチレングリコールで防腐を取っている場合が多いです。その濃度は賛否がありますが、30%が1つの目安です。でも、実際には10〜15%しか添加していなくて、その少なくした分、他の成分(生薬など)で防腐を補っている場合が多いようですね。
防腐剤は、化粧品を最後まで腐ることなく使って頂く為に入っています。防腐剤フリーで、知らぬ間に腐った化粧品を使わない為にも、むちゃな使い方を避けるべきです。

最後に、化粧品の使用期限について!
未開封の化粧品は3年もちます。ファンデーションなどでは、実際には5年以上もちます。しかし、一旦開封してしまったら、3ヶ月以内に使って頂くことを目安にして下さいね。


就職活動される方に-1
これから化粧品業界に就職を考えている方もいると思います。そんな方の為に、簡単な化粧品業界の裏叙情を紹介致しましょう。

まずは、化粧品業界を大きく分けて4つに分けられます。
1:規模で分ける
2:生産形態で分ける
3:販売形態で分ける
4:その他、注意(注目)点

では、ます、規模別で分けて、比較してみましょう。
分け方は、至って簡単。大手企業、中小企業、外国企業です。外国企業を大手や中小と区別した理由は、読んで頂けたら分かります。
まず、大手企業
主に、1S3Kと言われます。資生堂、花王、鐘紡、コーセーなどです。日本は世界トップの化粧品発展国です。よって、日本が開発したモノは、そのまま世界トップレベルと思って下さい(外国の化粧品で日本が負けるとしたら香水くらいでしょう)。その先人を斬るのが資生堂です。大学で例えるならオックスフォードかな(実際には、オックスフォードなる大学はないらしいですね)。研究のレベルが違いすぎます。よって、この手の大企業は特許に敏感です。開発という名の元に配属された先が特許調査ばかりの書類地獄で試験官とはおさらば!ってこともあります。
あわ良く研究開発に配属になっても、基礎研究という商品化には直接関係のないデータ分析の仕事だったり、製品の開発に当たったとしても、シャンプーの人は一生シャンプー、化粧水の人は一生化粧水の開発になり、専門研究員となります。まぁ、給料はいいですね。車好きならベンツくらいのれるでしょう。再就職するにしてもビックネームは効きますね。中小化粧品業者では雇ってくれるでしょう。

次に中小企業です。
大手と異なる点は、給料の低いコト(苦笑)。給料形態としては、土地、不動産→薬関係→化粧品関係→食品関係と、なりますから、研究職としってもそれほど高額を貰っていない場合が多いです(苦笑)。給料も初任給はいいですが、伸び率が低いトコも多いです(泣)。
しかし、鶏頭牛尾といいますか、何でも屋になることが多いです。つまり、1人の研究開発者が、シャンプーもリンスも化粧水もこなすことが殆どです。顧客との距離も近い場合が多いのでやり甲斐はありますね。しかし、その反面、基礎研究を行う時間がなかったり、学会の参加があんまり出来なかったりと悪い面もあります。再就職先としては、同じ中小よりも、原料メーカーが多いです。原料メーカーとしては、自分の会社の原料を使って欲しい分けですから、自分の会社の原料を使ってモデル処方を組める人が欲しいのですよね。大手のような専門で1種しか知らない人よりも多くの種類を手がけてきた人を雇いたい訳です。

最後に、外国企業ですが・・・。
主に大手企業と同じなのですが、母国の親会社の事情で突如、研究開発部が縮小されたり、会社内は日本語禁止(私語も英語!)だったり、アジアは配属先になる可能性が高かったりします。まず、英語の苦手な方は不向きですね。

では、次回は、「生産形態で分ける」を紹介しますね。


就職活動される方に-2
では、「生産形態で分ける」を紹介しますね。
化粧品販売をやってる形態には3つあります。

1:メーカー
2:バイヤー
3:OEM

です。
メーカーとは、自分の会社で、化粧品の製造及び販売を行っているところです。大手の化粧品はこれですね。

次にバイヤーですが、これは販売を専門に行っている会社です。ですから、自分のところには工場設備を持っていない場合が多いですね。持っていても、箱詰めする程度の工程ができる場所です。この箱詰め設備ってのが非常に重要になっていきますので、頭に残しておいて下さい。

ネット販売で自社ブランドを上げて数点だけ出しているところや、一部のドクターズ化粧品はこのバイヤーになります。サロンで自分のところのオリジナルブランドや、医者が自分のブランドを持っていたらその販売形態はバイヤーです。DHCなどは、バイヤーですね。

そうですね、素人の方でもオリジナルの化粧品を作ってもらって売るってのはできます。この2年間は許可はありませんから、簡単です。ただし、1種類を作るのに最低1000本作ることになるので・・・。シャンプーなら500gx1000本で500kgも一度に手にしてもさばけませんよね(汗)

最後にOEMです。このOEMは、上記のバイヤーやメイカー商品の一部を作る、いわば製造専門の会社です。資生堂やポーラなども全てを自社で作っている訳ではなくて、一部、こういったOEMを使っています。有名な会社としては日本コルマーや東色ピグメント、ピカソなどがあります。が、あまり、皆さんの耳にされたことのない会社じゃないですか?それにはトリックがあるのです。

化粧品には責任上、裏面に製造元の会社名と販売元の会社名の表示義務があります。つまり、日本コルマーに作ってもらって、コスメ 瑠璃香が販売した場合、

製造元 日本コルマー
販売元 コスメ 瑠璃香

と、なります。
ところが、製造も販売も自分のところでできる会社なら表示が変わります。例えば、コスメ 瑠璃香がメーカーで自分で作って販売した場合、販売元表示の義務がなくなります。つまり、

製造元 コスメ 瑠璃香
販売元 コスメ 瑠璃香

ではなくて、

製造元 コスメ 瑠璃香

になるのです。この販売元表示消すには、自分のところで中身は作れなくても箱詰めできる設備があればいいのです。そう、さっき覚えておいて欲しいといった点ですね。

つまり、あたながオリジナルの化粧水を販売したいとします。仮に田中化粧品としましょう。田中化粧品はマンションの1室に箱詰めできるスペースを持っていれば(そうですね、四畳半もあれば十分です)、日本コルマーに作ってもらっても

製造元 田中化粧品

と、表記するだけでいいのです。つまり、完全に化粧品屋きどりになるのですよね。素敵だと思いませんか?特に理髪店の方なんか、魅力的じゃないかなぁ?
でも、この制度も後2年で変更になります。チャンスは今かな(笑)
では、次回は、「販売形態で分ける」、「その他、注意(注目)点」を紹介しますね。特に、就職活動中の方は、業界問わず次回をお楽しみに♪



就職活動される方に-3
では、「販売形態で分ける」を紹介しますね。
化粧品販売をやってる形態には4つあります。

1:店頭販売(店販)
2:通信販売(通販)
3:訪問販売(訪販)
4:企業に卸す(OEM)

です。
店販は、百貨店内やコンビニ、独立店など様々なスタイルがありますが、主な特徴は、買う側に選ぶ権利が高い点です。
商品を開発するにあたり、商品特長の詳細を顧客に伝える事が困難で、パッと見のイメージも大きく重視されます。また、値段的にも高価なモノもありますが、価格は低めです。従って、商品を作るにあたる原料費も低い設定になっている場合が多いですね。

他にも、処方内容の変更期間が非常に短いです。販売して1年以内に処方を変更しているパターンもざらです。例えば、資生堂の「スーパーマイルド コンディショニングリンスV」の名称の後に(F)と表示があります。これが(G)とかになったら密かに処方変更が行われた証拠です。同じ商品をロングで使われるとやはり「飽き」が生じるので、その対策としてもチョコチョコ行われています。
従って、研究開発では1つの商品に類似品を沢山作ります。開発者の仕事としてはかなり忙しい処方開発を要求されます。
また、資生堂アネッサのように、毎シーズンごとに性能を向上させて新商品を出していかなくてはいけない場合が多いので、商品開発者は遣り甲斐が大きいです。

次に通販ですが、通販の場合は店販に比較して目視できる効果を求められる傾向があります。グラフや映像を用いてその効果を確認できることが求められるので、事実上、捏造といった歪んだコトをしたり、薬事法ギリギリの表現を使うなどといったコトをする会社も多いです。これは、会社規模が小さきコトと厚生労働省の摘発の甘さが悪化させている原因の1つだと思います。
勿論、きちんとしている会社が殆どです。しかし、商品に対する思い入れが大きい会社が多いので、商品の開発に偏りがあることは覚悟して入社して下さい。訪販もそうですが、どういった商品を売っているのか、事前のチェックは必須ですね。

そして、訪販です。訪販は、販売員という方が各家を回ったり、パーティーやセミナーなどを展開して商品を売ります。人が人に売る形式をとるので、会社としては不興に強いです。しかし、新商品の開発に力を注ぐことは小さく、現状のリニューアルが主な仕事になります。また、1商品の期間が5年などはざらで、新商品をバンバン開発したい方は、入ってから苦悩するかもしれません。ロング商品に関しては、30年手を加えていないといったものもあります。特に、日本に本社のある訪販の化粧品会社は要注意です。しかし、処方を1から組めるという点では魅力的です。

最後にOEMです。処方開発をバンバンやってみたい!と、いう方は、ここがお薦めです。とにかく忙しく多くの処方を手がけることができます。訪問販売が2年に1処方だとすると、OEMなら1年で20処方を手がけるのは珍しくないです。ただ、研究職を工場の製造職は混在していますので、2年したら製造部に配属などということも多いです。その逆もあります。
訪販の時に「処方を1から組める」と表記しましたが、OEMの場合、多くは基本処方のファイルが多くあり、それに手を加えて商品化しることが多いのです。1つの開発期間が非常に短くできますからね。

最後の最後に・・・「その他の注意」です。
あなたの入ろうとしている会社が血族会社なのか?これは、意外にも重要なチェックポイントです。大手では、UCCやサントリーなども血族です。血族会社は上層部は殆どが身内である場合が多いのです。これがどういった意味になるかが想像に任せますが・・・。特に、株を公開していない会社(サントリーなんかもそうですね)は、ソレからくる様々な影響を受けます。上を狙う方、新しいモノを目指す方は、入社前にチェックして下さいね。