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無添加化粧品表記

一般的に、無添加と謳う場合、「パラベン無添加」、「エタノール無添加」、「表示指定成分無添加」など、何を無添加にしているのか表示する必要あがります。しかし、結構大きな化粧品メーカーさんも堂々と「無添加化粧品」などと謳っています。

ファンケルさんなどの場合、2004年6月号のフレグランスジャーナル誌に、
『 「無添加化粧品」とは、「表示指定成分」を含まない、あるいは、防腐剤や殺菌剤などを含まない化粧品として、今日、化粧品の一分野として一般消費者に受け入れられている。』
と、言っています。本当にそうなのでしょうか?この「無添加化粧品」の定義は、実は決まっていないと思うのです。人によって認識も随分違います。やはり、「○○無添加」と、表記すべきではないかなぁ?

実際に、「医薬品・化粧品等広告の実際 追補 2002」には、p181 に「目添加等無配合を意味する用語」という項目があり、そこには、
『 「無添加」、「無配合」、「不使用」等ある種の成分を配合しないことを意味する用語を表記する場合は、何を配合していないかを明確に表示して使用する。』
とあり、その例に「パラベン無添加」などを挙げています。大手さんがそんな事を知らないはずはないので・・・。ファンケルどうした?
まぁ、2002年以後、法規が変わったなら、話は違いますが(汗)

他にも、表示の禁止事項で結構些細なことまで及びます。
例えば、染毛剤などは、頭皮に負担がかかることが分かっている分野の商品です。ですから、染毛剤に「やさしい」とか「マイルド」、「ソフト」などの表示は安全性を保障する表現に該当するので使用しないこと!と、あります。
ただ、どの世にも法の抜け道はあるもので、「やさしい」とか「マイルド」、「ソフト」などの表示は、「色調」、「香り」、「使用の感触」に関しては使ってもいいそうです。表現の悪用が見え見えですね(苦笑)

歯磨き粉などの場合、「マッ白にする」とか、「ピカピカ白」、「ヤニ臭さもピタリ」などの表現が禁止です。でも、・・・、見たことある気がしますねぇ(笑)

化粧品の場合も「漢方」、「生薬」や「漢方成分抽出物」を表してはいけないのです。この言葉は「薬」を意味し、化粧品の効能の域を越えるからです。
そこで生まれた言葉が「和漢植物エキス」です。これは、「薬」を意味しないそうです(−_−;
他にも、「第1位」の表現は、「客観的事実に基づく具体的な数値又は根拠があればOK」だそうです。どこかの化粧品屋さんは、CMでバンバンやってますね。業界的には批判もありますが、法的にはOKラインってことですね。

化粧品は、「成分機能」以外にも「謳い」も効果を発揮します。そこが化粧品が医薬品とことなり、面白い面でもあると思うのですよね。


pHの話

モノには酸性アルカリ性中性がある!
そう思っておられる方も多いでしょう。
特に「○○酸」ってのは、酸性だ!
そう思っておられる方も多いでしょう。
中性は、酸性でもアルカリ性でもないので水素イオンは存在しない!
そう思っておられる方もいるでしょうかね。

それは・・・否!

なのです。

pHについて簡単に説明しましょう。pHとは、水中に存在する水素イオン濃度のことです。どれだけ水中に水素イオンが存在するか(させることができるか)で、その水溶液(物質)のpHが決まります。
ここでポイント。pH7は中性ですよね。では、pH7とは実際はどんな意味なのでしょうか?

答え:pH7とは、水溶液中に水素イオン濃度が pH=-log10の7乗(-log107)濃度で存在することを意味します。logなんて出てきたら訳分からないですよね。ここで、分かって欲しいのは、水は放って置いても-log107だけの水素イオンを漂わせていて、pHが1つ違うと10倍の水素イオンが異るのです。

と、ココまでが難しい話です。
ここからが、応用編というか化粧品の話。

じゃぁ、石けんで有名はステアリン酸はpH幾つだと思いますか?

実は、「pHはない!」が、正解なのです。

その理由は、「水に溶けないから(笑)」
笑ってますが、事実です。

pHの大前提は、水にモノが溶けることです。水に溶けないモノにpHは存在しません。

では、スクワランやオリーブオイル、シリコンのpHは?

これも同様に、pHは存在しません。

では、髪のpHはどうでしょうか?

そうです。髪も水に溶けないのでpHは存在しないのです。ただし、髪はアルカリの水溶液に曝された時には、膨張したり、キューティクルがめくれたりしますし、弱酸性に曝されるとそれが元の状態に戻ったりします。でも、髪自体は疎水性でpHはないのです。

では、はどうでしょうか?

答えは、弱酸性です。
肌の表面は親水性です。肌の表面には、水に溶ける成分が特定の比率で存在します。 ですから、肌はpH測定が可能なのです。

pHとはそういうモノなのです。完全に勘違いして、説明をしている化粧品サイトの多いこと多いこと。pHにつてきちんと説明してくれているサイトは、それだけちゃんと勉強してるってことでしょうね。


抽出溶媒と抽出の工夫

漢方系やハーブ系の植物を自分で購入して抽出し、化粧水に配合する方も多くなっていますね。そういった抽出の方法に用いられる溶媒としては、無水エタノールエタノール水溶液BG水溶液が主に用いられているようです。
化粧品原料を作っているプロのメーカーでも、抽出には同じような溶媒を用います。

化粧品原料をみた場合でも、オタネニンジンエキス1つとっても、エタノール水溶液で抽出されたモノとBG水溶液で抽出されたモノがあります。

では、どんな溶媒で抽出しても同じなのでしょうか・・・。

答えは・・・・「抽出溶媒の種類によって、得られる成分は異ります
と、なります。

例えば、(分かり易いトコでは)ローズマリーから無水エタノールで抽出されるコトで有名な「ウルソール酸」があります。この成分をローズマリーから抽出する場合、エタノール水溶液では無理で、無水エタノールである必要がある、ってことは有名ですね。

同じように、オタネニンジンで血行促進、細胞賦活作用があると言われているジンセノザイトRg1という成分があります。この成分を抽出する場合、BG溶液よりもエタノール溶液の方が有利です。しかし、同じオタネニンジンの中の有効成分であるサポニンはBG抽出の方が有利に抽出出来ます。

また、70%エタノール抽出液なのか、50%エタノール抽出液なのか、30%エタノール抽出液なのかで、抽出される成分も事なります。例えば、30%エタノール抽出液でオタネニンジンを抽出した場合、「」が多く抽出されますが、70%エタノールなら「糖」の量が極端に減ります。糖は、それ自体肌に悪いモノではありません。しかし、酸やアルカリと反応したり、他の成分と反応して褐色化したり、匂いの原因やべた付きの原因になります。

そこで、プロの抽出方法の1つとして、2段階の抽出を行います。
オタネニンジンならば、(糖を除く為に)高エタノールで一旦抽出します。その後、そこに水を加えて、低濃度エタノール水溶液にまで薄めて、低温に静置してオリを出し切って、ろ過して商品化します。
高濃度エタノールで抽出した場合、水には溶けにくい成分も抽出されます。そういったモノが、化粧水に配合された場合、商品でオリが出たら大変です。ですから、低濃度エタノールに一旦して、オリを出してしまうのです。

このちょっとした2段階抽出が結構有効です。
オタネニンジンのジンセノザイトRg1は80%エタノールでも0%エタノール(水ってコトですね)にでも溶けますから、欲しい有効成分は取りだして、いらないモノは捨てるってことが可能なのですね。


化粧品の売り上げ状況

色々な新聞が世にはあるもので、化粧品のコトを専門に載せている週刊粧業という新聞があります。
その中の8月9日の記事に、「2003年度化粧品メーカーの売り上げ上位30社」という記事がありました。
さぁ、皆さんは2003年売り上げトップはどこのメーカーだと思いますか?

「そりゃ、資生堂だよ!」
と、答えた方! ハズレです。

2003年度売り上げトップは、花王だそうです。記事のデータによると、ここ3年は1位花王、2位資生堂の順が固定になっているようです。続いてカネボウ、P&G、コーセーとなります。因みに、2001年度、2002年度はP&Gよりもコーセーの方が売り上げが上位でした。
ここに上がった、花王カネボウコーセーを「化粧品3K」と呼ぶコトがあります。

資生堂は、技術や特許の上で群を抜いていますが、数多の化粧品会社が存在しますので、いちいち特許チェックなどやってられません。しかし、この3Kに関しては、しっかりチェックされているようです。
特許侵害が起こった場合、どうなるのでしょうか?企業間で大揉めになって、多額の賠償金が・・・、なんてことはめったにありません。実のトコは、「警告文」を打診して、打診された側はあっさり引いてそれで終了です。案外あっけない。

さてさて、売り上げの話に戻りますが、2003年度売り上げ伸び率のトップは「アルビオン」だそうです。
しかし、上位30社の合計売り上げは、前年割れで、内13社が売り上げを落としているようです。
景気の横ばいといいながら、まだまだ厳しいですねぇ〜。

そうそう、この記事の中に「スローコスメ」なる文字を見つけました。わたしは知らなかったのですが、「スローコスメ」とは、豆腐や豆乳、お茶などの商品を原料としたスキンケアコスメのことらしいです。まさに、手作り手作りコスメそのものの分野ですね。2004年下半期ももこの分野の売り上げは上昇の見込みだそうです。


トレハロースの仕事

トレハロースとう糖をご存知の方も多いのではないでしょうか。
トレハロースは超保湿などで有名になりました。例えば、乾燥した状態の蚊の幼虫(ネムリユスリカ)を水中に戻すと復活する映像を見た方もおられるでしょう。この蚊の場合、乾燥時、その重量の20%がトレハロースだそうです。
他にも、切花の差し水にトレハロースを適度に配合すると、花の散るまでの期間をかなり延長できるらしいです。

トレハロースは、医療現場でも活躍しています。例えば、臓器移植の際に、切り出した臓器を一時トレハロースの含まれる液に入れて保管します。他にも、ハンチントン病という神経を病む遺伝子病の抑制効果の報告もあります。

最近の報告では、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸の酸化抑制効果なども報告されています。と、言ってもこれは他の糖(マルトースやスクロールなど)と比較した場合の話で、特にモノとしてリノール酸、リノレン酸の酸化を抑える訳ではないと思います。

他にも、食べられる乾燥剤としてトレハロースを検討しているグループもあるようです。

化粧品の分野では、スキンケア、ボディーケアの分野で「老人臭の抑制」で特許が取られています。
老人臭とは、「ノネナール臭」として検索すると多く出てくると思うのですが、この成分が酸化することで発生する匂いです。

これからも様々な分野でこのトレハロースが活躍するでしょう。
わたしから指摘するなら・・・しいて言うなら・・・値段が高いんですよねぇ〜。多くの分野で使われだしたら、値も下がるのでしょうけど・・・。


最近流行のシャンプーを考える(pH編)

ここ1年ほどのシャンプーの売り上げ動向をみてみました。やはり、ラックスダヴは売り上げ上位を好調にキープしていますね。
ところで、ラックスダヴモッズ同じ会社のシャンプーであることをご存知でしょうか?どこも日本リーバという会社の商品なのです。そう考えると、シャンプーの部門は、資生堂やカネボウや花王などを圧倒して、日本リーバの壇上なのですね。

今回は、この流行のシャンプー群について調べてみました。
調べましたのは、ラックススーパーリッチシャンプー(Lux sp)、リーバダヴモイスチャーシャンプー(ダヴ sp)、カネボウシルクモイストエッセンスシャンプー(シルクsp)、スーパーマイルドシャンプー(Sマイルドsp)、パンテーンエクストラダメージケアシャンプー(パンテーンsp)です。

まずは、シャンプーpH状態です。

何れのシャンプーも弱酸性のpH域にあることが分かります。

今度は同じシリーズのリンス(コンディショナー・ヘアパック)についてpHをみてみましょう。
こちらも弱酸性の領域ですね。

どこのメーカーが特に酸性が強いとか弱いとかはないようです。

因みに、髪はアルカリに曝されますと膨潤(ぼうじゅん)します。これは、キューティクルのガードが弱くなって、めくれ上がり、髪の中に水分が必要以上に入ることを意味します。こうなると、髪は切れやすくなりますし、手触りも悪くなります。また、染めた髪の場合、色落ち退色の原因にもなります。

現在のシャンプー、リンスは、毛染めした人口の増加に伴って、傷んだ髪に対応した形になってきました。
その結果、シャンプー、リンス共に、弱酸性のモノが多くなったのですね。

次回は、こられの成分について斬っていきます。


最近流行のシャンプーを考える(防腐剤編)

大手の化粧品には防腐剤としてパラベンが配合されている・・・ってのは常識でしょうか?
では、ここ半年ほどの売れ筋シャンプーの全成分表示の下の方の成分をここにカキコしてみましょう。

ラックス
トリートメント
シャンプーL
スーパーリッチ
(傷んだ髪用)





サリチル酸Na
メチルパラベン

EDTA−3Na
BHT
安息香酸Na

TEA
メチルクロロイソチアゾノン
メチルイソチアゾノン

香料

ダヴ
モイスチャー
シャンプーb




PEG−45M
ジメチコノール
サリチル酸Na
安息香酸Na
メチルパラベン

EDTA−2Na
BHT
リシンHCl
香料

シルク
モイスト
エッセンス
シャンプー




クエン酸
ポリクオタニウム−7
加水分解コラーゲン
エデト酸塩
サリチル酸
パラベン

香料

スーパー
マイルド
シャンプーV(F)




小麦胚芽油
クエン酸
エデト酸塩
安息香酸塩
フェノキシエタノール

香料

パンテーン
シャンプー
エクストラ
ダメージケア




香料
ポリクオタニウム−10
ステアリルアルコール
EDTA−2Na
リン酸Na
塩化Na
リン酸2Na
パンテノール
パンテニルエチル
加水分解コムギタンパク
加水分解コムギデンプン
メチルクロロイソチアゾリノン
メチルイソチアゾリノン


キシレンスルホン酸アンモニウム



赤で表示した部分が抗菌剤・殺菌剤に当たります。因みに、BHTは殺菌剤としての働き以外に、香料の酸化防止剤としての働きもあります。

予想に反してパラベンを使っているモノばかりではないのです。スーパーマイルドシャンプーV(F)やパンテーンシャンプーエクストラダメージケアは既にパラベンフリーのシャンプーです。
パラベンに変わり、フェノキシエタノールか?と、思うと、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノンなんてのを使っています。

メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノンの安全性については1990年4月23日にCIRから塗り切りの場合で7.5ppm(0.00075%)、洗い流しで15ppm(0.0015%)までなら安全と報告しています(日本化粧品工業会発刊 技術情報誌No.149、No.171)。
ただ、全成分表示は多いもの順に並べることが原則ですが、1%以下は順不同なので、正確な濃度は不明です。また、パラベンとの比較データもないので、何ともいえませんが、シャンプーでのパッチテストで、他の防腐剤よりも安全性が高いとう報告もあります(日本化粧品工業会発刊 技術情報誌No.198)。
大きな流れの中で、パラベンフリーは着実に進んでいるようですね。


最近流行のシャンプーを考える(表示別名称編)

化粧品の全成分表示2001年4月から始まっています。しかし、その中間的な表示の仕方に「表示別名称」というのがありました。この「ありました」という過去形の表現の理由は、『表示別名称は、平成16年4月30日をもって「化粧品の成分表示名称リスト」からすべて削除する』と、「日本化粧品工業連合会表示名称作成ガイドライン」に示されているからです。因みに、旧名称である種別許可成分名称は、平成13年3月31日をもって廃止されています。

表示別名称」とは、旧表示方法(種別許可成分名称)から全成分表示に使う「表示名称」に移行するにあたり、混乱を避ける為に、一時的に設けられた「特例の表示方法」です。
この表示別名称は、実は「内容成分を表示しているようで、実はごまかしている表示方法」なのです。

例をあげましょう。

表示別名称では、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩」というものがあります。これはシャンプーの主剤に主に用いられている成分で、ラックス、ダヴ、シルクモイストエッセンスやスーパーマイルドシャンプーなど、売り上げ上位のシャンプーの殆ど全てに配合されています。

「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩」の名称にあたる全成分表示の名称は、
ラウレス硫酸TEA
ラウレス硫酸Na
ラウレス−5硫酸Na
ラウレス−7硫酸Na
ラウレス−8硫酸Na
ラウレス−12硫酸Na
など何種類もあります。当然、種類によって人への刺激性も異なります。全成分表示の意味は、内容成分を購入者に前もって知ってもらうことで、肌トラブルを回避してもらうコトが目的のはずです。実は何が入ってるのか不明な表示別名称は、不適切な表現だと言わざるえません

因みに下記のモノは、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩」には属しません。
ラウレス−2硫酸アンモニウム
ラウレス−3硫酸アンモニウム

この2つは、表示別名称で特別に
「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム」
「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム液」
と、名称を付けられているからです。

また、おそらく以下の4つも、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩」とは表示されないはずです。
ラウレス硫酸Mg
ラウレス−8硫酸Mg
ラウレス硫酸MIPA
ラウレス硫酸TIPA
これらは、新しい原料なので、中間的な存在の表示別名称を持たず、いきなり『表示名称』を冠して登録されているからです。

同じように、パラベンという表示形式も2004年4月から消える(表示別名称)です。
パラベンの場合、全成分表示の名称にすると、
イソブチルパラベン
イソプロピルパラベン
エチルパラベン
ブチルパラベン
プロピルパラベン
メチルパラベン
が相当します。パラベンの場合は、その種類によって、トラブル率も異なりますし、ブチルパラベンに至っては、環境ホルモンの疑いが拭いきれていません(メチル、エチル、プロピルパラベンは、環境ホルモンとしては「白」との報告があります)。

因みに、
ベンジルパラベン
は、表示別名称でも『パラベン』とは表示されず、そのまま「ベンジルパラベン」と表示されます。

更によく見るモノとして「エデト酸塩」がありますね。このエデト酸塩は
EDTA−2K
EDTA−2Na
EDTA−3Na
EDTA−4Na
が、あります。何れもキレート剤です。2Naか4NaかでCa++とMg++の捕まえる比率が異なるようですが、トラブル面では大方大差ないです。因みに洗い流しタイプには上限3.0%まで、塗り切りタイプには、上限1.0%まで配合可能です。

また、同じくよく見かける「安息香酸塩」は、
安息香酸Na
しかありません。表示別名称を用いる理由がないですね(笑)
化粧品原料としては「安息香酸Al」や「安息香酸ベンジル」ってのもあるのですが、これは表示別名称を持っていませんので、「安息香酸塩」とは別物扱いされます。

では、最近のシャンプーの表示はどうなっているのでしょうか?
次回、カキコです。


最近流行のシャンプーを考える
(大手メーカーを斬ってみる・頑張らんかい!日本トップ化粧品屋!)


現在、平成16年9月5日です。
前回、表したように、化粧品原料の表現で、旧名称である種別許可成分名称は、平成13年3月31日をもって廃止 されています。また、『表示別名称は、平成16年4月30日をもって「化粧品の成分表示名称リスト」からすべて削除する』と、「日本化粧品工業連合会表示名称作成ガイドライン」に示されています。

では、最近の売れ筋シャンプーの表示はどうなっているのでしょうか?
まずは、株式会社エフティ資生堂 スーパーマイルドシャンプーV(F) (詰め替え用 Lot.BHOBX)を見てみます。


ココイルメリルタウリンナトリウム
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩
コカミドプロピルベタイン
ジステアリン酸グリコール
ラウリン酸PG
塩化ナトリウム
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド
カチオン化ヒドロキシセルロース−2
PEG/PPG−25/30コポリマー
小麦胚芽油
クエン酸
エデト酸塩
安息香酸塩
フェノキシエタノール
香料

表示が「表示別名称」になったままですね。今の表示にするなら、
ココイルメリルタウリンナトリウム→ココイルメチルタウリンNa
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩→ラウレス−○硫酸◇
塩化ナトリウム→塩化Na
小麦胚芽油→コムギ胚芽油
エデト酸塩→EDTA−○◇
安息香酸塩→安息香酸Na
と、なります。(○は数値、◇はNaやTEAが入ります)

ところで、この表示、ちょっとひどいトコがあります。例えば、

塩化ナトリウムは種別許可名称の表示の仕方です。全成分表示なってから表示名称としては「塩化Na」となり、表示別名称でも「食塩」との記載のはずですが、資生堂のシャンプーには平成16年8月末購入の商品に未だに「塩化ナトリウム」と表示されています。何度もいうようですが、この種別名称の書き方は、平成13年3月31日に終了しています。

天下の資生堂が、こんな法規のミスを起こすはすはないので・・・、この商品は、かなり2年以上前の商品ってことになるのでしょうね(古!)

更に言うなら、「小麦胚芽油」なる表示名称、表示別名称、種別許可成分名称も存在しません。
書くなら「コムギ胚芽油」が表示名称と種別許可成分名称にはあります。

つまり、この「スーパーマイルドシャンプーV(F)」の表示の仕方は、やはり、全成分表示に対応したモノではないので・・・、全成分表示に非対応の場合、2001年4月以前に製造されたことを意味すると・・・。え?何年前に造ったの?そえとも、天下の資生堂が表示の仕方を間違ってるの?と、なってしまいます。

しかし、どこの世にも法の抜け穴ってのはあるものです。

表示別名称など廃止された成分名称を変更するに当たり、「次回の処方変更や印刷を変更する際に、直したらいい」というお達しがあるのです。つまり、処方の変更や印刷の変更がなければ、このまま、不適切な表現の表示別名称を永遠と続けられる訳です。

しかし、・・・日本、いや、世界をリードするはずの資生堂がこんなコトでいいのでしょうかね?

更には、カネボウのシルクモイストエッセンスシャンプーも同じく表示別名称で表されています
(ポンプボトル Lot.7Y2R)。

どのメーカーも同じか?と思うと、そうでもないです。
日本リーバ株式会社 ラックス トリートメント シャンプーL スーパーリッチ(傷んだ髪用)(詰め替え用 Lot.4G09S70BN51B)や、同じく日本リーバ株式会社 ダヴモイスチャーシャンプーb(詰め替え用 Lot.4H06S18BR58A)、更にマックスファクター株式会社(P&G) パンテーンシャンプー エクストラダメージケア(詰め替え用 Lot.41654811N2)は、きちんと全成分表示従った表記になっています(2004年9月5日現在)。(因に、このメーカーは何れも母体は外国です。)
流石、世界のヘアケア業界を牛耳るメーカーはちゃんとしていますねぇ〜。同じ業界として、資生堂、カネボウにはもう少し頑張って欲しいものです(泣)


オイルの加熱

オイルは酸化されるというイメージが強いですね。実際、そうなのですが、口紅を作ったり、乳液を作ったり、クリームを作る際に、どうしても「加熱」しなくてはいけないですよね。

いったいどれくらい加熱してもいいのだろうか?

と、思ったことはないでしょうか?
今回は、そんな疑問に答えてみましょう。

用意したのは、化粧品グレードのオリーブオイル。一般的にオリーブオイルはオレイン酸リッチで70-85%オレイン酸を含んでいます。他にも4-12%程度でリノール酸も含みます。
食用にも使われる最もメジャーなオイルの1つですが、化粧品原料としてもメジャーですね。

今回はこの化粧品グレードのオリーブオイルをガラスのビーカーに入れて、110℃まで加熱してみました。
オイルの劣化の具合はPOVという指標で行いました。

POVとは、酸化物価値を見たものです。酸化物価とは、オイルが空気中の酸素と反応したときに、過酸化物を生じます。その過酸化物の量を測定することで、オイルの酸化 度合いをみています
因みに、POV値は、

0〜5mg/kg    殆ど酸化されていない状態
5〜10mg/kg   酸化し始めている
10〜20mg/kg  酸化が少し進んでいる
         (このあたりで化粧品グレードしてアウトです)
20〜50mg/kg  酸化臭がするが、大きな障害はない
50〜100mg/kg  障害が起こる可能性がある
100mg/kg以上  吐き気、中毒を起こす場合がある

と、分類できます。

これが今回のデータです。



今回の実験の結果、110℃で10時間加熱してもPOV値は10mg/kgに満ちませんでした(8.3mg/kg)。
因みに、実験自体はもっと長い時間行っており、POV値が100mh/kgを超えたのは、60時間後でした。

今回の実験で110℃という過酷な試験を行ったのは、このオリーブ油を50℃程度で同じ実験をした場合、POV値が10mg/kgを超えるのに100時間も掛かるからです(はっきり言ってやってられません 笑)。

つまり、この化粧品グレードのオリーブオイルは、通常の使用に於いて、少々加熱しようが酸化されることはありません。

参考までの話ですが、大手の化粧品メーカーになると、乳液を一度に3トンもの量で作ります。3トンもの液体を加熱するだけで2時間は掛かりますし、冷却するときも同じくらい時間が掛かります。そうすると、釜の中で乳液中のオイルは高い温度で4時間以上加熱され続けることになります。
化粧品グレードのオリーブオイルはそんな条件でも変性することない、高い精製度のオイルなのです。

残念ながら食品グレードのデータはとっていません。なぜなら、食品グレードは様々な不純物を含み、モノによって違いが有りすぎるからです。
食品としてオリーブオイルを見た場合、この不純物が香りや味につながります。因みに、化粧品グレードのオリーブオイルは、精製度が高いので美味しくはありません。食べたら「うがぁ〜ア・ブ・ラァ〜」って、感じです(苦笑)


エコ化粧品

現在の化粧品の流れは「癒し」と言われています。
そして、次世代は「エコ」だそうです。

今回は、そんな「エコ原料」の話です。

モノは、全成分表示で「テオブロマグランディフロラム種子脂」と言われる種子脂です。

クパスと言われるアマゾンの植物の種子から採取されます。食用としては、高級チョコレートにも使用されています。
通常の室温では固体ですが、体温あたりで溶けるので、指に取ると「フワッ」と溶けます。
使用感は、一見、シア脂やラノリンに似ていますが、そんなに重くはありません。かといって、ホホバ油ほと軽すぎることもないいい感じです。化粧品では、目元など敏感肌の部分への使用も行われいます。
脂ですが、水を抱える力があり、そういった点ではラノリンに似た性質を持ちますが、抱水性はラノリン以上、でも、使用感は軽くて、すべりもよいです。

効果としても、消炎効果もあり、敏感肌の方にぜひ使ってみて頂きたい原料です

この原料がなぜ「エコ」なのかと言いますと、この原料の売り上げの何割かが、「焼畑農法を定置型農法へ移行するプロジェクト」に寄付されているからです。

焼畑農法とは、アマゾンなどのジャングルの一部を焼き払い、そこ灰を肥料に農業を行うものです。人口が少なかった時代は、焼かれる森林の面積と、木の生えるスピードのバランスがとれていていました。しかし、人口増加に伴い、焼畑面積が急激に上昇し、そのバランスが崩れています。
クパスは、高級な価格で売買されますので、定置型農法での植物として商業能力があります。
多くの森林を焼くことなく、多くの人が食べていけるのです。しかも、もともとアマゾンの植物ですので、外来種による「汚染」の問題もありません。

エコ、エコと言っていても、我々は今の生活を変えることは困難です。しかし、今の生活を維持しながら、何か出来ることもあるのではないか?そう、思います。


化粧品グレードの精油

化粧品には精油という表現の変わりにその成分名が使われます。
例えば、オレンジに由来する精油は、オレンジ油として表現されます。
規制緩和(全成分表示)は、日本薬局法にオレンジ油の記載がありました。オレンジ油の起源は、「Citrus属諸種植物(Rutaceae)の食用に供する種類の果皮を圧搾した精油」とされています。

一方、規制緩和に登録されたオレンジ油もあります。これは、日本薬局方や化粧品原料の2大規格書である「粧原基」や「粧配規」にも記載されていなかった全く新しいオレンジ油です。
この新しいタイプのオレンジ油は、その起源を「オレンジ Citrus aurantium dulcis から得られる精油」としています。俗に言うビターオレンジの事ですね。

アロマを少しかじっておられる方には常識的な話と思いますが、柑橘類の果皮から取れる精油の多くはフロクマリンが含有しています。そう、光毒性で有名なフロクマリンです。唯一スイートオレンジ(Citrus sinensis)だけが光毒性がないといわれています。しかし、化粧品原料として使われる場合・・・、正確には化粧品香料として精油が使われる場合、どの柑橘系の果皮由来の精油もフロクマリンを含みません。そう、除去されているのです。
この場合、通常の精油同様、圧搾法で精油を得た後に、蒸留でフロクマリンを除外するそうです。
「そこんトコが、雑貨と化粧品原料の差です」
と、香料メーカーさんが言ってました。
このサイトでもオイルに関してはよく「化粧品グレードを!」と、言っています。製油もやはり、そういった点が異なるのでしょうね。

注意ですが、市販の柑橘系の精油に全てフロクマリンが入っている訳ではないそうです。と、いうのは、化粧品グレードの精油をアロマ店に精油として卸している場合があるからです。同じ精油でも価格に大きく差があるのは、そういった差があるのでしょうね。


動物実験代替試験

化粧品に於いて、動物実験の賛否が話題になっています。特に問題として、新しく界面活性剤を開発した場合必須になる試験項目の「眼刺激性試験」があります。
この試験を簡単に言うと、ウサギの目に薄めた新規の界面活性剤を入れて、目の中の血管の拡張や破裂、回復の様を観察する試験です。一群で3匹以上が基準となり、場合によってはウサギは失明します。

この試験法の代替として、HET-CAM試験があります。
このHET-CAM法とは、ウサギの目の変わりにを使って同じような試験を行うものです。
一見、ソフトですが・・・。

HET-CAM試験の詳細を示しましょう。
使う卵は、鶏卵です。それも、受精卵で、神経の未発達な10日目までの卵を使います。
まず、卵のショウ尿膜という部分(ゆで卵にしたら、空気の入っているトコ)を破って中の血管を観察します。
そう、受精卵ですから、血管が存在します。勿論卵は生きていますからね。
その血管の見えた部分に、薄めた界面活性剤を入れて中の血管の拡張や破裂の様を観察する試験です(この試験の場合、「回復」は確認不可です)。

以前、セミナーにて、なぜ10日目の受精卵を使うのか?受精卵も生きているのではないか?と、質問があったところ、

「血管の反応を見る必要があるので、どうしても受精卵でなくてはいけない。また、受精10日目までの卵は、神経が発達いしていないので、痛みを感じません。動物虐待の基本が、動物が苦痛を感じるコトですからね。

と、言っていました。妙に納得いかない感じを受けるのはわたしだけでしょうか?
更に、

「HET-CAM試験法は、一応確立しているのですが、2004年現在で、厚生労働省からは認められていないので、新規の界面活性剤を登録する場合は、今なおウサギを用いた眼刺激試験が必須なのです。」
だ、そうです。

ただ、HET-CAM試験も、虐待に繋がることを全く無視している訳ではなく、更に代替として、卵白を用いた蛋白変性試験も行われてきています。

化粧品に新規の原料は不要であるということを論じている方々もいます。化粧品原料の安全性の確認は、10年前には終わっていますから、新規の原料を開発しない限り、殆ど動物実験の必要はないのです
新しいモノを使って効果をアップしたい。そういう気持ちは科学屋として分かります。皆さんも実のところそうではないでしょうか?油溶性のビタミンCや美白剤の幾つかも新たな原料です。化粧品に限らず、新規の原料を市場が求める限り、新たな試験、新たな被害動物を生むことに繋がるのです。


合成シャンプー系の歴史前編

未だにネット上では悪役になっている石油系の合成の界面活性剤!
今回は、その歴史と、背景を少しお話ししましょう。
こういった話は、他のサイトはなかなか聞けないので、石けん派、アミノ酸系界面活性剤派、一般派に限らず、一度知っておくと、見方が変わるかもしれませんね。
全部で3話です。では、始まり始まりぃ〜♪

ご存知の通り、ヒトが最初に広く使用した界面活性剤は、石けんです。
石けんは、その歴史の古さと、日本での馴染みの良さから未だに人気の1つです。
しかし、ヨーロッパでは、その背景はちょっと違っていました。

日本の水は、基本的に軟水です。これは、山から海に至るまでの距離が短い為に、水にミネラルが溶け込む量が少ないからです。
一方、ヨーロッパの水は、基本的に硬水です。硬水とは、地下を水が流れる間に多くのミネラル分が溶け込んだ水のことです。この硬水は、石けんと非常に相性が悪く、ヨーロッパでは、石けんは日本の様に泡立つことはなく、使い勝手のいいモノではありませんでした。

そこに現れたのが、石油系の合成界面活性剤のラウリル硫酸Naなどです。これらの界面活性剤は、硬水の水質でも非常に良好な泡立ちを保つことができたのです。そういった背景から、ヨーロッパでは、体を洗うにも髪を洗うにもラウリル硫酸Naなどの石油系の合成界面活性剤が使われるようになりました。

しかし、ラウリル硫酸Naなどは脱脂力が強く、また、肌深くに浸透して、多くの肌トラブルを生じさせました。
こういった事例を元に、「石油系の合成界面活性剤は体に悪い!」と、位置づけられ始めました。

しかし、日本の様に、どこに行っても石けんで泡立ててられる環境ではなく、石けんが泡立たない世界(ヨーロッパ)だった訳ですから、「じゃぁ、石けんに戻るかぁ」とはいきません。しかし、なんとかしなくてはいけなかった訳ですよね。

そこで、ラウリル硫酸Naの悪い点を改善して、参上したのが、ラウレス硫酸Naです。

このラウレス硫酸Naは、ラウリル硫酸Naに「ポリオキシエチレン」という石油系の長い鎖状の部位を持たせたモノだと思って頂いて結構です。つまり、モノとして「大きい」訳です。
この「大きい」という点がポイントです。モノが「大きい」と、肌の深くまで浸透出来ないのです。このことは、ラウルリ硫酸Naで生じた肌トラブルを爆発的に改善しました。その結果、今、世界のシャンプー基剤の主流はラウレス硫酸Naとなったのです。
現に、ドラッグストアで売り買いされるシャンプーの8割以上にこのラウレス硫酸Naが使用されています。

しかし、ラウレス硫酸Naでは、肌トラブルは治まったのですが、やはり脱脂力は強く、加えてヨーロッパの気候も乾燥しがちでしたので、肌が乾燥して、痒みを訴える人が後をたちませんでした。

そこで、参上したのが、両性界面活性剤(ラウリルベタインなど)でした。
次回は、この両性界面活性剤の導入についてお話しましょう。


合成シャンプー系の歴史中編

前回は、合成系で有名なラウレス硫酸Naの誕生までの話をしました。
今回はその続きで、両性界面活性剤(例えば、ラウリルベタインなど)の話です。

ヨーロッパでは、石けんが泡立たない為に、その代役として参上したラウリル硫酸Naでしたが、脱脂力や浸透性が強く肌トラブルが絶えませんでした。そこに参上したのがラウレス硫酸Naです。確かに、ラウレス硫酸Naは肌トラブルは激減しましたが、それでも、肌が乾燥して、痒みを訴える声が上がっていました。
そこで、配合されたのが両性界面活性剤です。
この両性界面活性剤は、「両性」というだけあって、アニオン界面活性剤(ラウレス硫酸Naや石けん)同様に洗浄力を持っています。また、その反面、カチオン界面活性剤のようなリンス効果も持っていました。
何よりラウレス硫酸Naとの相性がよかったのです。

通常、ラウレス硫酸Na単体の水溶液なら、石けんの水溶液のようにシャバシャバの水の様な感触です。そこに、ラウリルベタインのような両性界面活性剤を適当な比率で配合して、食塩をちょっと加えると、グリセリン状の粘りが生じます。
現在、ドラッグストアで購入できるシャンプーの殆どは、この原理を使って、あのトロミを出しています。このドロッとした感触が好印象で、今も活用されています。
その証拠に、全成分表示を見たら「ラウリル硫酸Na(または、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩)」、「ラウリルベタイン(または、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)」、「塩化Na」の3つが載っているはずです。

更に、ラウリルベタインは、髪や肌に吸着して、軽いリンス効果を持たせ、そのことが肌の乾燥感を和らげました。その結果、ラウレス硫酸Naを単体で使うよりも、遥かに乾燥による痒みを抑えることが出来たのです。また、洗髪後のすすぎ時の髪のきしみも激減されました。

こうして、「ラウリル硫酸Na(または、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩)」、「ラウリルベタイン(または、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)」、「塩化Na」の三大組合せが誕生したのです。

そして、この組合せは海を越えて日本に上陸します。しかし、その頃、日本は石けんから合成のシャンプーに変わりつつある途上でした。海外からの情報も(まぁ、どんな話でもそうですが)悪い情報だけが極端に早く流れます。当時、ラウリル硫酸Naは、肌に悪い!と言う情報が飛び交っていました。
しかし、日本に入って来たのは、ラウレス硫酸Naラウリルベタイン塩化Naの組合せ処方。ラウレス硫酸Naラウリル硫酸Naの区別をつけられる訳もなく、「合成系界面活性剤=悪」となり、折角のラウリルベタインも「ついでに悪」となってしまいました。イメージ恐るべしです。

そして、その後に、アミノ酸系界面活性剤が出てきます。初めての採用理由は意外なものでした・・・。次回、お楽しみに♪


合成シャンプー系の歴史後編

アミノ酸系界面活性剤が使われるようになったのは、ラウレス硫酸Naとラウリルベタインの組合せのずっと後になります。当初、アミノ酸系界面活性剤の配合は、「ラウレス硫酸Naとラウリルベタイン」の黄金コンビに対して数%配合される程度でした。配合目的は「痒みの改善」です。
ラウレス硫酸Naとラウリルベタインでも乾燥して痒みを訴える顧客相に対して抜群の人気が出たのです。後に化学的に見た点では、アミノ酸系界面活性剤が、アニオンとしてのラウレス硫酸Naの刺激を抑えるものだったと思われます。

その後に、更に違った目的でアミノ酸系界面活性剤は配合されることになります。 当時、シャンプーやボディーシャンプーは、「振り出し式」でした(今は、殆どがポンプ式ですよね)。ラウレス硫酸Naとラウリルベタインの黄金コンビは、すごく増粘する(とろみが出る)のですが、逆にとろみが出過ぎて、振り出し式では中身が出にくくて仕方ありませんでした。そこに、アミノ酸系界面活性剤を数%配合すると、ストンッととろみが減って、中身が出やすくなったのです。そう増粘剤の逆の仕事をする目的で配合されたのです。

その後やっと、アミノ酸系界面活性剤は、選択洗浄性という洗浄機能が着目されるようになります。選択洗浄性とは、肌バリア成分であるコレステロールなどを肌に残したままゴミや垢を洗い流す仕事のことです。ですから、髪に付いたワックスとかオイルなんかは石けんや通常のアニオン界面活性剤同様に洗い流してくれます

ネットでは、「アミノ酸系界面活性剤は洗浄力が弱い」といいますが、決してそんなことはありません。ただ、不必要に持っていかないのです。

ラウレス硫酸Naとラウリルベタインの組合せのシャンプーや石けんのボディーシャンプーのようなすっきり感を感じるのは、肌バリア成分までもっていって乾燥しているからです。その乾燥を「すっきり」と勘違いしているのです。通常の健康肌なら、この乾燥を自分の機能で復元できますが、アトピーを初め弱い肌質の方は、修復まで時間が掛ってしまい、その間に更に乾燥して、痒みを感じます。

最後に、こういった開発の最後に、ノニオン界面活性剤が配合される処方が生まれます。その理由は、デシルグルコシドラウリルグルコシドなどのノニオン界面活性剤は、水溶液中でアニオン界面活性剤が直接肌に触れることを防ぎます。ノニオン界面活性剤がアニオン界面活性剤を包み込むような形になって、アニオン界面活性剤の力をソフトにする他、肌へ残ることを抑制するのです。

このように時代と共に、処方技術もどんどん向上しています。未だに、「何が何でも石けん」とか「合成原料は絶対体に害が有る!」と言っているグループは、その背後に「宣伝」、「販売」があるのです。

情報は、正しく知って、健康な肌状態を保っていきましょうね。


クパスについて

今回は、クパスについてのお話の第2談です。
前回は、「エコ化粧品」としてのクパスを紹介しました。その反響があり、今回は、その続きと、クパスの効果を初めもう少し詳しくお話しましょう。

まず、クパスの採れるアマゾンについて少しお話しましょう。
熱帯雨林の1/3が、アマゾンに存在していおり、1ヘクタールに200種以上の植物が存在していると言われています。
実は、このアマゾン、ブラジルの国土の60%程度も占めており、ブラジル人口の10%にあたる1800万人が住んでいます。そこには、22000ものコミュニティー(村のようなもの)があります。コミュニティーとは、森の中または川のそばで生活する人々が200〜300人程度集まった共同体です。基本姿勢は自給自足です。その生活様式の1つに、焼き畑農法があります。

焼き畑農法は決して、悪い農法ではありませんでした。しかし、人口の増加に伴い、森林を焼く速さと、森林が焼かれた土地を覆い尽くす速さのバランスが崩れだしているのです。

しかし、自給自足のコミュニティーとて、皆の生活を支える必要があるのです。
そこに新たな農法として、定置型農法が導入されました。
しかしながら、小麦やトウモロコシなどを用いた定置型農法は、生態系の混乱や過剰な肥料や農薬による新たな害を生みだしました。
そこで新しい形の定置型農法が求められるようになったのです。そう、アマゾンで成育している植物を育てて、生活の糧を得るのです。自然と人々の新たな共存のスタイルです。

その1つに、クパスがあります。クパスを初め、アマゾン独自の植物を定置型農法に用いることで、1世帯あたり$150の収入になるそうです。これを「森林運営計画」といいます。この「森林運営計画」はその使命として、「天然資源の保護と地域社会経済発展の促進を永続的なポリシーとして、植物由来の生産物、副生産物を研究、リサーチ、開発、使用する。」と掲げています。クパスの売上の一部は、この運営に還元されています。

では、クパスについて、お話しましょう。

クパスは種子脂になります。白色〜黄色の柔らかい固体です。シアバターに似た感じがありますが、臭い立ちは少なく、感触も軽ぅ〜いです。
皮膚の上で溶けるのも1つの特徴でしょう。
働きとしては、保湿効果は勿論、紫外線吸収能力消炎効果もあります。
また、ラノリンの様に水を抱える力もあります。

紫外線吸収は、肌を赤く火照らせる紫外線B波から肌を守ってくれます。

また、クパスを5%配合したクリームによる保湿効果を下の図に示します。



縦軸は保湿の度合い、横軸は時間(分)を示します。5%クパス配合クリームは無配合のクリーム比べて、360分(6時間)もその効果を維持しました。

また、消炎効果を見る1つの指標に、肌炎症部の温度測定があります。
炎症を起こしている部位は、他の部位よりも高い温度となり、炎症が治まると周りの部位と同じ温度に戻ります。
特別な機器で肌温度を測定した結果を下に示します。



左が健康な肌の温度です。中央が、炎症部位にクパス無配合のクリームを塗った場合です。健康な肌よりも高い温度を示していることが分かります。そして、右がクパスを5%配合したクリームを塗った場合です。健康な肌の状態まで温度が下がっていることが分かります。

最後に、クパスの脂肪酸組成を示します。

脂肪酸名炭素数配合%
ラウリン酸C12-
ミリスチン酸C14-
パルミチン酸C166.8%
ステアリン酸C1833.4%
オレイン酸C1841.5%
リノール酸C183.7%
リノレン酸C180.1%
アラキドン酸C20/td>11.0%
ベヘニン酸C221.8%


と、なっています。

これらの脂肪酸は、トリグリセリルといって、グリセリンの一部に引っ付いた形で存在しています。ですから、「オレイン酸は肌に悪い!」と、お思いの方、ご心配なく♪オレイン酸はオレイン酸として単体では、肌に害を与える報告があります。しかし、トリグリセリルの形で、グリセリンの一部に引っ付いた場合、オリーブ油のような感じになり、安全な形になります。この結合は強固で、100℃程度の熱を加えても分離することはありませんので、ご安心下さい。

実際に、クパスは化粧品として、目元や口元の化粧品として採用されつつあります。 わたしのいち押しの原料の1つです♪


最近の化粧品原料「リピジュア」を例にとって

注意!1今回の独り言には「長いカタカナ」が多いです。それ自体のお話は深くしていませんので、「ああ、なんか長い名の成分だなぁ」程度に読み飛ばして読んで下さい。まじめに読んでると疲れます。なお、これから、化粧品業界に入りたい人はきちんと読むように(笑)

最近は、化粧品の紹介に、そこに含まれる「成分」ではなくて、その「原料名」を宣伝トークに使っている例が見受けられるようになりました。
その1つに、今回紹介する「リピジュア」があります。

リピジュアとは、日本油脂株式会社が扱う原料の1つです。そして、「リピジュア」とは成分の名称ではなくて、商品名の総称であります。

元々リピジュアとは、生体膜と類似の働きをする水溶性ポリマーの総称です。
リピジュアの謳いとしては、生体膜構造をとって、疑似細胞膜となり、医学的な見地から有用性が検討できるとしています。また、保湿力としては、塗った後に、洗い流しても肌の表面に残り、高い保湿性を保つとしています。その効果は、ヒアルロン酸Naと比較して2倍程度のデータとなっています。また、頭髪に使用した場合、キューティクルのめくれ上がる現象を抑制すると、謳っています。
これらのデータは、わたしが見る限り、化学的にきちんとデータが取られてモノであると思います。

おお、すばらしい!

で、終わらないのがこのサイトです。(笑)

このリピジュア、雑誌なんかで既に見た方も多いでしょう。どんなモノに配合されていましたか?美容液?ヘアケア商品?
「そのどっちも見た!」
って、人が多いかな?

そう、「リピジュア配合」には裏が有ります。

リピジュアとは、確かに良い商品です。しかし、リピジュアは商品名の総称であり、成分名ではないのです。
何を言いたいかといいますと、リピジュアには、「リピジュア-HM」、「リピジュア-PMB」、「リピジュア-A」、「リピジュア-C」なる4種類程があります。

例えば、「リピジュア-HM」は全成分表示で言う「ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン」になります。長い名前ですねぇ〜(^_^;
「新美容液発売! リピジュア配合!」
なら軽快はコメントですが、
「新美容液発売!ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン配合!」
では、様になりませんね。実際ここのカキコの「ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン」もいちいち書いていません。コピペです(笑)。

その他では、「リピジュア-PMB」は全成分表示で言う「ポリクオタニウムー51」になります。
この「ポリクオタニウム」はその後に数字が違うだけで、随分種類がある上に、その構造も様々です。

リピジュア-A」、「リピジュア-C」に至っては、全成分表示で言う「ポリクオタニウムー65」、「ポリクオタニウム-64」になります。

先に言いました様に、「ポリクオタニム」はその後に付く数値で随分違ったモノになります。例えば、「リピジュア-A」の「ポリクオタニウムー65」は、
「2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸、メタクリル酸ブチルの3元コポリマー」
とあります。正直、わたしが聞いても、パッとなんなのか分かりません(汗)

ポリクオタニウムの数値が1つ違うだけの「リピジュア-C」である「ポリクオタニウム-64」は、
「2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの2元コポリマー」
と、あります。2行以上のカタカナの羅列!この羅列を「ウムウムなる程!」と読めるのは、業界人か、有機系の研究員だけしょう(笑)
実際、皆さんは、書いてあるカタカナの量だけで、「これは石油系の合成で、体に悪そう!!!!」と思ってしまったのではないでしょうか?

しかし、例えば、「2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン」は肌の存在する成分を有機化学の名称で表記しただけに過ぎません。生物の持つ構造の1つなのです。決して、肌に悪い成分ではないのですよ。

実際、データもしっかりしていますし、機会があったらわたしも使ってみたい原料の1つです。

最近の原料は、その構造を有機化学的に表現することが多くなり、その長いカタカナ名だけで「悪」とイメージされてしまう傾向があるのが、残念です。が、その反面、仕方ないかもしれませんね。
ですから、皆さんに紹介する時は「リピジュア」と表現しているのでしょうね。 なお、今回は、リピジュアに関してデータは示していませんが、日本油脂株式会社のサイトを閲覧されますと、細かく、きちんとデータ取りしていることが分かりますよ。


コエンザイムQ10復活

コエンザイムQ10(別名、ユビキノン)、化粧品の全成分表示でいうところのユビデカレノンが、また化粧品で使えるようにな りました。配合上限0.03%ということで、平成16年10月1日にネガティブリストに載りました。

ここで、ちょっとコエンザイムQ10の話をしましょう。
コエンザイムQ10は、細胞内のミトコンドリア(細胞というか、好気性生物の酸素呼吸の場であり、エネルギー発生装置ともいえる器官)が作り出す細胞のエネルギーの源とも言えるATPを作り出す為の補酵素をコエンザイムQ10といいます。別名、補酵素Aとも呼ばれます。もっと簡単に言えば、わたしたちヒトの全ての細胞の中に存在する補酵素で、最も大切なモノの1つです。

なぜ、Q10と呼ばれるのかを説明しましょう。ちょっと、下の図を見てください。これがコエンザイムQ10の構造です。



六角形の構造の周りにCとかHとかOとかがありますが、その1つが長く伸びていますよね。そこに「10」と赤字で示しています。これは、(CH2CHCCH3CH2)という構造が10回繰り返されますよぉ〜って意味です。
これが10回繰り返されるからQ10なのです。ヒトの場合は、この様に10回の繰り返しですが、マウスや違う動物種では、9回だったり、この数が異なってきます。
これが、Q10という名の付いた理由です。実際に名づけたのはアメリカの大学のグループで、1957年ウシ心臓のミトコンドリア内から見つけています。

じゃぁ、何でコエンザイムQ10は、ユビキノンなんて違った名があるのでしょうか?
それは、1950年イギリスの大学が、ラットの肝臓から新規のキノン化合物として発見し、「ユビキノン」と名づけました。その後に、ユビキノン=コエンザイムQ10であることが分かったのです。

じゃぁ、じゃぁ、化粧品の全成分表示は、そのどちらも使ってないのはなぜ?と、思いませんか?
それは、1974年日本心筋代謝改善薬という医薬品として製造され、その名称が、ユビデカレノンだったのです。その名称が、化粧品に於ける全成分表示名称に採用されているのです。

つまり、コエンザイムQ10は、元々医薬品用に使われてきました。心臓病の薬だったのですね。
働きは、ミトコンドリアを活発にしてやることです。1日の使用量は、30mg(0.03g)服用と指定されています。

このコエンザイムQ10、化粧品に配合した場合、抗シワ効果があると謳われて、一時期随分高濃度で配合された例があったそうです。
しかし、本来、医薬品であり、その使用量は、1日0.03gと決まっていました。塗るモノとはいえ、医薬品の使用量を超えた配合は如何なものか?と、警笛を鳴らしたのが、大阪府でした。大阪府は、健康食品にも0.03g以上のコエンザイムQ10が、配合されているモノあると指摘。製造の中止を指導しました(回収の有無は業者の自主判断としたそうです。)。

急なあおりを受けたのは、新商品発売直前の花王(ニベア)と、DHCでした。
花王、DHCはコエンザイムQ10配合の商品を発売中止にせざるえませんでした。これが、この春に起こった出来事です。

しかし、平成16年10月1日をもって、コエンザイムQ10は、「ユビデカレノン」という名称で、化粧品への配合がOKになりました。しかし、記載された場所は、ネガティブリストです。
ネガティブリストとは、何らかの使用に関する規制がかけられた原料が載るところです。メチルパラベンなどの防腐剤や紫外線吸収剤はポジティブリストになります。

さて、ユビデカレノンを化粧品に配合する条件は、
1)配合上限は、100g中に0.03gまで
2)粘膜に使用することのない化粧品で洗い流すモノはOK。
3)粘膜に使用することのない化粧品で塗り切りのモノはOK。
4)粘膜に使用されることのある化粧品への配合は禁止。
と、なっています。ご注意を!因に「粘膜」とは、具体的には唇のことを指すと思われます。

ここで、ちょっと裏情報。
10/1からの化粧品配合を知ってか知らずか、某有名TVが9月末にコエンザイムQ10の特番をしました。
その結果、健康食品関係で、コエンザイムQ10がバカ売れ!
あおりを食らったのは、花王(ニベア)や資生堂などのこれからコエンザイムQ10(ユビデカレノン)を配合した化粧品を出そうとしていた化粧品メーカーです。何が大変って、・・・原料となるコエンザイムQ10(ユビデカレノン)が、売り切れぇ〜、てな自体だそうです(汗)
恐るべしTVパワー!


ネガティブリストとポジティブリスト前編

最近の化粧品のことを少し勉強しだすと、ネガティブリストポジティブリストという言葉に遭遇します。我々化粧品屋としは、仕事柄知っている分野なのですが、いざネットで「ネガティブリスト」と「ポジティブリスト」を検索すると、なかなかいい解説が載っていないことに気付きました。

じゃぁ、って話で、今回は、ネガティブリストポジティブリストって何?
って、話です。

まず、ネガティブリストポジティブリストってどんなイメージなのでしょうかね?先日、旧友との飲み会の席で聞いてみると
ネガティブリストは、悪いイメージで、ポジティブリストは何か効果のある成分のイメージ」
と、言われました。
まぁ、言葉からするとそう思ってしまいますよね。
じゃぁ、化粧品でいう「ネガティブリストポジティブリスト」って何か、簡単に説明しましょう。

まず、ネガティブリストです。定義が幾つかあります。
1)防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の話である
2)化粧品に配合出来ない成分を記載している(別表1
3)全ての化粧品に於て、配合上限がある成分を記載している(別表2の1
4)化粧品の種類又は使用目的により配合制限がある成分を記載している(別表2の2
5)化粧品の種類より配合制限がある成分を記載している(別表2の3
と、まぁ、5つの定義があります。
また、化粧品に配合出来ない成分として「医薬品の成分」とも記載があります(ただし、条件付き)。

さて、2)〜5)の表を具体的に説明しましょう。

別表1とは、どんなモノが載っているかといいますと
クロロホルム ・ メチルアルコール ・ 水銀及びその化合物
など30品目です。どれも「入れる訳ないじゃん!」って、成分ですよね。

でも、「クロロホルム」や「メチルアルコール」などは、一種の溶媒であり、何かを合成したり精製したりするときに日常的に使います。原料に混じっても問題ですね。
水銀」に至っては、水銀が体に悪いことは皆さん知ってしますよね。しかし、数世紀前までの「美白成分」だったのです。エリザベス一世も使用していたそうです。今世紀になっても、南アフリカなどでは、黒人の方が白くなりたくて、使用したそうで・・・、実際に白くなります。しかし、その副作用も激しく、部分的に色の異るマダラ肌になったります。

さてさて、ネガティブリストは化粧品に配合してはいけない成分だけでなく、「配合上限のある成分」も記載さています。ただ、その配合には幾つかの条件があります。
別表2の1(全ての化粧品に於て、配合上限がある成分)のお話をしましょう。別紙2の1では、
トウガラシチンキなどのチンキ類
など、4種類載っています。使ってもいいですが、その刺激性があるので、配合上限がある成分です。

別表2の2では、「化粧品の種類又は使用目的により配合制限がある成分」が載っています。具体的にあげますと、
*エアゾール剤には「ジルコニウム」配合不可
*石けん、シャンプー等直ちに洗い流す化粧品以外に「ウンデシレン酸モノエタノールアミド」の配合は不可
*石けん、シャンプー等直ちに洗い流す化粧品以外では「チラム」の配合は100g中0.30gまで
*石けん、シャンプー等直ちに洗い流す化粧品では「チラム」の配合は100g中0.50gまで
*頭部にのみ使用される化粧品には、「アミノエーテル型の抗ヒスタミン剤」の配合は100g中0.010gまで
*ミツロウを乳化させる目的で使用する「ホウ砂」の配合は100g中0.76gまで
*ミツロウを乳化させる以外の目的で使用する「ホウ砂」の配合は不可
など十数種類があげられています。
ホウ砂の話は、アロマ関係の手作り化粧品では周知かもしれませんね。
この他にも、女性ホルモンとして有名なエストラジオールの配合に関しても載っています。

更に、別表2の3という項目が平成16年10月1日から出来ました。この表には、化粧品の種類より配合制限がある成分が記載されています。
具体的には、
ユビデカレノン(コエンザイムQ10)は、粘膜に使用されることのない化粧品の内洗い流すモノ及び洗い流さないモノには100g中0.03gまで配合可。ただし、粘膜に使用される化粧品への配合は不可
と、あります。因に、化粧品でいう「粘膜に使用される化粧品」とは、
「(アイライナーなど)メークアップ効果の目的でまつ毛の生え際に沿って使用される化粧品」
「(リップ・口紅など)口唇の保護・メークアップ効果の目的で使用される化粧品」 などを指します。

これは、わたしの勝手な思い込みですが、別表2の3が出来たことは大きな意味があると思っています。別紙2の3に記載されたユビデカレノンは本来医薬品原料です。
化粧品には効果・副作用があってはいけない!ってのが、法の規定ですので、ユビデカレノンは一時配合が不可になっていました。
しかし、「別表2の3が出来たこと」は、現在配合不可になっている医薬品原料(例えばビタミンKなど)の化粧品への配合が一部認められるようになっていくのでは? ちょっと期待です♪

この様に、ネガティブリストには「防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の話」が載っています
じゃぁ、「防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の話」はどこ?
それが、ポジティブリストです。

では、次回は「ポジティブリスト」編です。


ネガティブリストとポジティブリスト後編

前回はネガティブリストについて書いてみました。今回は、その続きとしてポジティブリストについて書きますね。

ポジティブリストは「有効性のある成分の載っているリスト」とか思われがちですが、実は違います。ポジティブリストとは、「紫外線吸収剤」、「防腐剤」、「タール色素」などの配合の可否、配合上限が載っているリストです。

ところで、素朴な疑問ですが、「防腐剤」って何でしょうか?
「簡単、簡単、パラベンとかフェノキシエタノールのことでしょ!」
と、即答した方!正解です(笑)

じゃぁ、正解した方(いや、正解しなかった方にも)質問です。
エタノールは防腐剤ですか?」
「ティートリーなどの一部の精油は防腐剤ですか?」

・・・・考える間・・・・

答えは、「ポジティブリストのいう所の防腐剤には当たりません。」

ポジティブリストのいう所の防腐剤とは「化粧品中の微生物の発育を抑制することを目的として化粧品に配合される物」とされ、精油やエタノールはそれに含まれないとしています。また、「パラベンなどの防腐剤を防腐目的以外で配合することはないだろうが、もしあったとしても、ポジティブリストに記載されている成分は、その上限を守らなくてはいけない」とされています。

このルールは、紫外線吸収剤も同じことです。

では、具体的に上げてみましょう。ポジティブリストとは「別表代3」、「別表代4」がソレにあたります。

1)防腐剤の内、全ての化粧品に配合上限のあるもの(別表代3の1
2)防腐剤の内、化粧品の種類により配合上限のあるもの(別表代3の2
3)紫外線吸収剤の内、全ての化粧品に配合上限のあるもの(別表代4の1
4)紫外線吸収剤の内、化粧品の種類により配合上限のあるもの(別表代4の2

があります。では、具体的に各表の成分を示してみましょう。

別表代3の1には、「安息香酸」、「パラベン類」、「フェノキシエタノール」など16項目程度はが記載されています。何れも、シャンプーなどに配合されている「旧表示指定成分」ですね。

別表代3の2は、「化粧品の種類により配合上限のあるもの」としています。化粧品の種類としては
「粘膜に使用されることがない化粧品の内、洗い流すもの(シャンプーやリンス、洗顔がコレになります)」
「粘膜に使用されることがない化粧品の内、洗い流さないもの(化粧水、乳液、ファンデーションなそがコレになります。)」
「粘膜に使用されることがあるもの(アイライナー、口紅などがコレになります。)」
の3種に分類されています。

具体的にはヒノキチオールなどが含まれています。
ヒノキチオールの場合、粘膜に使わす洗い流す場合、配合上限はないが、洗い流さないなら100g中に0.10gまで配合OK。ただし、粘膜に使用するなら100g中に0.050gまでしか配合はダメ」と、なっています。
ヒノキチオール以外の成分では、部外品のシャンプーの有効成分にもなる「ジンクピリチオン」や世界的に見れば、パラベンの代替えとして、シャンプーの防腐剤市場の8割を占めると言われる「メチルイソチアゾリノン」などが記載されています。

別表代4の1には、紫外線吸収剤として、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタンを初め6種が記載。

別表代4の2には、紫外線吸収剤として、化粧品の種類によって制限がある成分が22個あったのですが、平成16年10月1日に1つ増えて、23個になりました。

このポジティブリストは世界共通ではありません。ですから、アメリカやヨーロッパと配合の上限が異ったりします。そこで、このポジティブリストには「改正を要求」する手続きがとれることになっています。簡単に言うと、
「アメリカでは使用上限が0.5%で、トラブルも殆どない!だから、日本でも0.1%じゃなくて、0.5%まで配合出来るようにしてくれ!」
と、国に要求出来るのです。ただし、その成分の起源や物理的特製、font color="blue">安全性に関する資料の提出が必要になります。

この「安全性に関する資料」とは、「皮膚一時刺激性」や、「遺伝毒性」、「眼刺激性」、「ヒトパッチテスト」など12項目あります。その内、「眼刺激性」などは明らかに動物実験が必要であり、今後問題視すべき点だと思います。

まぁ、ネガティブリスト、ポジティブリストのことは、これでイメージ掴めましたでしょうか?


まつ毛パーマにご用心

平成16年9月〜10月で、厚生労働省から、「まつ毛パーマ液」の取り扱いについて、調査、使用の中止指示の連絡が出ています。

元々は、平成16年9月16日の「薬食審査発第0916003号」に起を持つ話なのですが、要は「まつ毛パーマと称して、ヘアパーマ用のパーマ液を使っているのかを、各都道府県は調査しなさい。まつ毛パーマ液を作っているなら、製造を中止させなさい。」って、話です。

元々、パーマ液というモノは医薬部外品の領域のモノで、厚生労働省の管轄下にあります。パーマ液の承認許可は、頭髪への使用に対して許可を出したものです。「毛ななら何でもいいですよ」と、したものではありません。

しかし、実際には、まつ毛のパーマ用には、頭髪用のパーマ液が使われています

「いやぁ、うちンとこは、まつ毛用に特別に開発してもらたモノだから、!!」

と、いう使用者の方々、騙されてはいけません厚生労働省は、決して、まつ毛用へのパーマ液の使用は許可ていません。もし、そういった「開発品」であるなら、無許可の商品、若しくは、頭髪用の商品を騙してまつ毛用と言って販売しているのです。

実際に、平成16年9月に、独立法人国民生活センターがまとめた資料では、

「まつ毛パーマ」とは
エステティックサロンや美容院等で行われているもので、タンパク質の還元・酸化作用により、まつ毛にウェーブをもたらせるものをいう。「まつ毛カール」と呼ばれる場合もある。単に、熱や力を加える等で物理的にまつ毛をカールさせるものは除く

と、しています。要は、パーマ液を使ってるってトコがポイントですね。

また、厚生労働省が乗出すにはそれなりの理由もあり、国民生活センターの調べでは、まつ毛パーマによる危害件数が2002年以後、急激にアップしているのです。
下記の図は、その危害報告件数を年度ごとにグラフにしたものですが、これは氷山一角に過ぎないことは、想像にたやすいでしょう。泣き寝入りや、騙されたままの方も多いでしょうね。



こういった危害は、エステサロンが全体の64%を占めたそうです。
年齢的には、20代の女性が45%以上を占め、次に30代の女性が27%以上を占めました。案外10代が少ない(4%に満たない)のは、エステに行くだけの費用などの問題もあるのかもしれませんね。

危害の場所としては、まぶたは半数を超えています。次に、目です。
そりゃ、頭に使うってのと、目に使うのは全く安全性の面で異りますからね・・・、無茶しやがる!って感じです。

被害的には、治療に3週間掛ったり、目の黒めの膜の3/4がはがれた!、まつ毛が縮れて切れたなどの例があります。
また、悪質なサロンに至っては、「目に使っていけないモノかどうか知らない!」などという所もあるそうです。ちゃんと、箱や説明書には書いているはずですし、書いていないなら、そのメーカーが無許可などの違法行為で作っているのでしょう。そんな妖しげなモノを使うサロンも・・・怖いモノです。

このまつ毛パーマの話は、最近になって話題になった物ではなく、既に、昭和60年7月1日に、当時の厚生省から、注意が発せられています。

最近のアイメークブームにのって再び流行りだしたのでしょうね。

皆さんもご注意下さい。
(注意:上記にも書きました、「単に、熱や力を加える等で物理的にまつ毛をカールさせるものは除く。」ですので、ご愛用のサロンに一度聞いてみるといいでしょう。)


オリーブ油で石けんを作るってこと

オリーブ油はオレイン酸リッチのオイルであることは知っている方も多いでしょう。オリーブ油の組成を表1に示します。

表1
パルミチン酸 7-15%
ステアリン酸 1-3%
オレイン酸  70-80%
リノール酸  4-12%
リノレン酸  0-1%


と、言われています。勿論、精製の状況で、その組成(%)は変わりますが、オレイン酸リッチであることには変わりはありません。

今回は、このオリーブ油で石けんを作るってことは、どういうことなのか?って、話です。

そもそも、オリーブ油は肌や髪にいい植物オイルとして有名です。勿論、食用にもあります。先にも言いましたが、オリーブ油はオレイン酸リッチです。しかし、独り言にもカキコしましたが、肌にオレイン酸を塗ることは、いいことではありません
じゃぁ・・・、何だか話がややこしいですね。矛盾している様に思いますよね。

実は、植物オイル、例えば、オリーブ油などは、グリセリル構造で脂肪酸を持っています。グリセリル構造とは、グリセリンに3つの脂肪酸が引っ付いた形です。その様子を下記の図1に示しました。

図1


実は、こういった構造でオリーブ油はなっています。その中の脂肪酸だけの比率を見たのが上記の表1の配合です。

大ざっぱにオリーブ油石けんの作り方を説明しますと、このオリーブ油を加熱(又はコールドの状態で)し、そこに水酸化Na水溶液を入れて中和して、作ります。
その工程で、グリセリンの部分から脂肪酸が外れます。その結果、石けん中には多くのグリセリンが配合される形になります。
また、100%中和でない場合、グリセリンから脂肪酸が全て取れる訳でなく、1つだけ残ったりします。これを「モノグリセリル」といい、乳化作用のある一種の界面活性剤になります。このモノグリセリルは、泡質のまろやかさを出したり、使用感のマイルドさを出します。(図2)

図2


そして、水酸化Naで中和され、結果として(図3)、オリーブ石けん中には、モノグリセリル(赤)や脂肪酸そのもの(青)、グリセリン(黄)、石けん(白)が混在することになるのです。

図3


これが植物油や馬油などから作った石けんがマイルドな理由です。
脂肪酸から中和で作った場合、グリセリンやモノグリセリルなどは発生しないので、「石けんです!」と、主張するような石けんが出来上るのです。

ちょっと、見方が変わりましたかな?

化粧品屋が石けんを場合は、オリーブ油から作ることが少なく、脂肪酸の中和で石けんを作ります。そうすることで、脂肪酸組成を自由に調節でき、毎回同じ組成比にも出来る他、グリセリンやモノグリセリルの配合比も調節出来るからです。
天然オイルから石けんを場合も、マイルドな泡質にする為に、ミリスチン酸を天然オイルに加えてみたりもします。その組成比は、会社のヒ・ミ・ツ♪になっています(笑)


わたしが化粧品が好きな理由

わたしは、理系の出身です。大学、大学院と、ホルモン系の研究をしていて、細胞培養もホルモンの代謝や構造上の仕組みの解析。また、有機合成(ホルモンの合成)や精製、同定、定量などかなり手広くやってきました。
ですので、道としては、薬の分野もあったのです。
しかし、あんまり気が乗りませんでした。

医薬品に於ける「」とは、細胞に働き掛けるモノです。医薬品は、弱ってる細胞にムチ打って、無理やり強制労働させるに他なりません。その結果、一部の器官(細胞)が異常に仕事をして、器官(細胞)同士のバランスが崩れてしまいます。その結果、副作用が生じるのです。
まぁ、ヒトという固体全体が死ぬよりは、副作用が生じる程度の方がマシな訳ですが・・・。どうも、医薬品は「バランス」ってモノを軽視している気がしてならないのです。

それに対して、化粧品は、「人」に働き掛けるモノです。「人」とは、1つの細胞ではなくて、数多くの神経系や循環器系のバランスで、正常を保っています。更に、もっと言えば、幾つかの人間関係を持つことで成立してる存在です。
化粧品は、弱った肌表面に働きかけますが、その作用は基本的に医薬品と異ります。 化粧品は、肌表面の保湿やバリア機能をあげることで、弱った肌が「立ち直る」手助けをしているのです。
ですから、肌の状態は、化粧品だけでなく、食品やストレス、睡眠や運動で大きく左右されます。また、心の問題も大切です。「恋する乙女は美しい」とは、嘘ではなく、感情からくるホルモンバランスの向上は、医薬品並みに効果があります。
また、アトピーなどは、半分ストレス病であることは多くの皮膚科が認めつつあります。
ですから、化粧品に「謳い」がつきまとうのもその1つです。「効く」と思って使うと効くってのは実際にそうです。

わたし達処方担当は、細胞レベルまでの作用の研究もします。化粧品の学術的には、そういった部分が多いのは事実です。また、ビタミンCやグリチルリチン酸2Kやリノレン酸など細胞レベルでの効果のある成分を配合していくのも事実です。

しかし、わたしは、「細胞」に働き掛ける化粧品ではなく、「人」に働き掛ける化粧品を作っていきたいと思っています。






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